文
□寝相で蹴られても、落とされても。(不源)
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「………った!?」
声にならない悲鳴が夜の空気を裂く。
不動は頭への衝撃で目を覚ました。
どうやらまたベッドから落とされたらしい。
上半身だけがベッドから落ちているのか見える世界が反転していた。
鈍く痛む頭を抑えながら不動は腹筋を使いベッドに戻る。
そこには布団も何もきていなく腹を出しながら幸せそうに眠る源田がいた。
ベッドには二人しか寝ていなかったのでもちろん源田が不動を落とした張本人だ。
二人で一緒に眠り始めた頃分かったのだか源田は寝相がすごく悪い。
布団はどこかにやってしまうし手足が飛んでくるのは当たり前、運が悪い時はこうやってベッドから落とされる。
普段の源田からは想像できないがやはり人間には一つや二つダメな所があるものだとしみじみ不動は思った。
「この野郎っ!」
スヤスヤと眠る源田に腹が立ち鼻を摘むが少し苦しがるだけで起きる気配が全く無い。
「やーめた。」
虚しくなって不動は源田の鼻から手を離す。
不動は源田の腹をしまってやった後、ベッドの下に落とされた布団を取り二人に掛け直した。
きっとまた何かしらで起こされるだろうがそれでも不動は別々に寝ることは考えられなかった。
一緒に体温を分け合って眠れることと比べれば痛みや寝不足なんて些細なことだ。
「あー、俺って健気。」
寝相で蹴られても、落とされても
それでも共に
end
→あとがき