□2010.クリスマス
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聖夜の奇跡















今日は家族や恋人達が聖夜を祝うクリスマス。




僕には家族がいないから恋人と……



なんて思ったけど遠距離恋愛中の彼とはなかなか会えない。




中学生には北海道と東京という距離はあまりにも遠すぎる。





会いたいな…


染岡君…










せめて声だけでも、と携帯をとりだし電話をかける。



プルルル………



無機質なコール音が耳に伝わるけど一向に止まる気配がない。





諦めて電話を切る。



電波さえ届かないなんて切な過ぎる…。




携帯を握り締め滲みそうな涙を堪える。















その時来訪者を知らせるチャイムが鳴る。






こんな夜中に来るなんて白恋中のみんなかな?



そう思いドアを開けると見慣れたピンク頭が立っていた。






「よぉ…。」



肩や頭に雪が積もっていてとても寒そうだ。




「な…んで?夢?」




あまりにも寂しい僕が作り出した幻想かと思い何度も目を擦る。




「夢じゃねぇよ。それより寒いから入れてくんねぇか?」




自身の体を抱きしめ震える染岡君。



風邪を引いちゃ困るので急いでコタツに入ってもらいあったかいココアを作った。






「えーっと…、急にどうしたの?」



熱いのかココアを冷ましながら飲む染岡君。


久しぶりに見る彼はまた可愛くなった気がする。




「…会いたかったから会いに来た。それにコレも渡したかったし。」




染岡君はそう言って鞄の中から袋をとりだし僕に手渡した。




もしかして、クリスマスプレゼント?



「開けていい?」




「いいぜ。」




丁寧に袋を開けると中には水色のマフラーが入っていた。




「マフラーなんてどうかと思ったんだけどよ……、前にしてたのが似合ってたから…。」




目を逸らしながら頬を染めるなんて可愛いすぎる。





「ありがとう、染岡君。最高のクリスマスだよ…。」







こんな素敵なプレゼントを貰えるなんて…


僕はなんて幸せ者なんだろう。



























「あのさ…、泊まるとこないんだけど……」









でもやっぱり一番嬉しいのは君と会えたことと一緒に今日という日を過ごせたことだね










「泊まるのはいいけど…寝るのは諦めてね?」











end




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