文
□香しい花
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花は遅く咲くほど美しい
目の前の花瓶の中で見事に咲き誇っている赤や白の様々な花。
長い間咲く準備をしてきたからこそ人の心を動かせるほど美しいのだろう。
けれどもどんな綺麗な花も咲いたままではいられない。
咲いた花はあとは老いるの待つだけ。
いつかは必ず枯れてしまう。
人間も同じようなものだけれど悲しくなる。
「儚いものだな。」
一言呟いた。
そうしたら花瓶の向こう側でつまらなそうに話を聞いていたテレスが口を開いた。
「でもよ、そういうのって一瞬だから美しいんじゃねーの?俺は花とか興味ないけどな。」
まさか花を知らないテレスに教えられるとは思わなかった。
考え方を変えればそうかもしれない。
「やはり…君は興味深いな。」
違うからこそ惹かれる。
君はいつも私の心を掻き立てる。
「あぁ、でも私はたった今永遠に枯れない美しい花を見つけたよ。」
「そんなもんねぇだろ?」
「君だよ。君は私にとって永遠に枯れない一番綺麗な花だ。」
「…俺は花じゃねぇ。それにクサいんだよ、キザ紳士。」
目の前のテレスの手を取り甲にキスを落とす
甘い、花のような香りがした
end
→あとがき