小説

□黒猫
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サソリが猫を拾ってきた。

じゃがいもを買いにスーパーへ行った帰り道、ダンボールに入った子猫を公園で見つけたそうだ。
みーみー小さい声で母猫を探している姿に心をうたれ、あちこち引っかかれながらもその子猫を抱いて帰ってきた。


最初はびっくりしたけど、
そういえば、動物系の感動する番組でよく涙ぐんでいたことを思い出した。


とりあえず、綺麗なダンボールと毛布を用意して観察してみた。
子猫は全身真っ黒でフーッと毛を逆立てて小さい体で威嚇している。


「…飼うのか?」

「だめか?」


駄目じゃないけど、テマリ達がなんていうか。今までこの家で動物を飼うっていう習慣がなかったからどうしたものかと悩んでいたら、サソリがその子を優しく抱きかかえ、

「だってコイツ、全身真っ黒でカンクロウみたいだろ?」

と言いながら笑ってる姿を見てなんだか胸がきゅんっとなってしまった。

しっかりしろ俺!



「じゃあとりあえず、ミルクでも飲ますか」


ダッシュで子猫用の粉ミルクと缶詰を買いにいき、小さいお皿に入れて与えてみた。
警戒しながらも、やっぱりお腹を空かしていたようでガツガツッ缶詰のフードを食べてくれた。



「良かった!食べてくれたじゃん!」


これにはサソリも安心したようで、ほっと胸をなでおろした。



そこにちょうど我愛羅が仕事を早々に終わらせて帰宅した。
男二人がきゃっきゃっ言いながら子猫を囲んで和んでいる姿を見て、若干引きながらも何をしているのかと聞いてきた。


「この猫飼ってもいいか?」


ご飯をたらふく食べ、お腹いっぱいになったら眠くなったのだろうか、もう警戒心など微塵も見せずに、うとうととカンクロウの腕の中で眠ろうしていた。

「真っ黒でお前みたいだな」

「だろ?やっぱ風影は見る目がいいぜ」

「世話がちゃんと出来るなら飼ってもいいだろう。で、名前はなににするんだ?」


顔は相変わらず無表情だが、小さい真っ黒な子猫に我愛羅も癒され、飼う気満々になってくれた。


「んー、考えんの面倒臭いからかんくろうでいいんじゃねぇか?」


と、サソリの案。

「えーっ紛らわしいじゃん!」

「それがいい。へたれな本家のカンクロウとは違い立派な忍猫になるように育てよう」

「酷いじゃん!」

「この甘えん坊っぷり、本家のカンクロウも見習って欲しいぜ。可愛いなぁかんくろうは」

「・・・・・・」


この二人に俺が適うはずもなく、あっけなく名前は『かんくろう』になってしまった。



後日、深く後悔したのは言うまでもない。




「かんくろう!布団におしっこするなって何回も言っただろうがァ!!」



「サソリ!紛らわしいからそういう事は大声で言わないで欲しいじゃん!」

「舐めたって許してやるかよ…ッく、気持ちいいじゃねぇかかんくろうッ!」

「ただ指舐めてるだけじゃん!あーっやっぱりこんな名前駄目じゃん絶対!」

「にゃ〜っ」






余談
テマリも快くOKしてくれました。



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