DRRR!!
□結果的に相思相愛
1ページ/1ページ
「ピアスゥーーー!?」
その日一番の絶叫が放課後の二年の教室に響き渡った。
「な、なんでピアスなんかしようと思ってんの?」
「別に正臣には関係ないでしょ」
「っぐ……」
「ピアスなんてだめだよ、帝人君」
耳たぶを触りながらさらっと発言した帝人に正臣は言葉につまる。
そんな正臣に代わるようにして様子を見ていた臨也が話に入ってきた。
帝人は隣の席に腰掛け、帝人の頬をつつく臨也を冷めた目で見る。
「そんな目で見なくてもいいのに…ぐすん」
「自分でぐすんとか言わないで下さいよ、気持ち悪い」
「酷い!!!」
しくしくと泣きはじめた臨也を無視して帝人は臨也に便乗して頬をつついていた正臣に目を向け、話を戻した。
「ピアス開けるのって痛いのかな」
「そんなに開けたいなら俺が開けてやるけど…ピアスなんて開けないほうがいいぞ?」
正臣の言葉に黙った帝人にはピアスを開けなければいけないような事情があるのだろうか、と正臣と臨也は首を傾げる。
そんな二人を気にせず、帝人は正臣に礼を言い、かばんを肩にかけて教室を後にした。
「…ってああ!!一緒に帰ろうと思ってたのに!」
「あはは、帝人君をとったら許さないよ?正臣君」
「……命は惜しいんで」
「じゃあ俺も帰ろうかな」
帝人の後を追うようにして、臨也はかばんを手に教室を去っていった。
「はぁ…ほんと敵わねぇなぁ…」
正臣の独り言は誰にも聞かれず消えていった。
「…帝人、ピアス開けんのか」
「そうっぽいっすよ」
「そういえば、帝人以外の俺達、みんなピアスしてるな」
「ああ、それが理由かもしれないっスね」
教室で寝ながら話をきいていたらしい静雄が起きて帰る仕度をする。
正臣もため息をついて、かばんを肩にかけた。
「赤いピアス、ねえ…」
『赤いピアスかな……』
先程帝人が呟いたキーワードに正臣はやっぱり勝ち目がねぇとため息を吐いて数十秒前の帝人達と同じように教室を後にした。
結果的に相思相愛
fin....