DRRR!!

□虚言癖
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  例えば君がもし、俺のことを嫌いだと言ったのならば、きっと俺はその言葉をすんなり受け入れてしまうだろう。

 何故なら君の双眸は悲しいくらいに俺を写してはいなかったから。


  どんなに優しくしても、愛を囁いても、君は俺を見なかった。

 嬉しそうに作り笑いを浮かべて、俺が喜ぶ言葉を、それはもう、心が篭っていると錯覚するほどの演技力で言ってくれた。けれど、君は結局俺を見やしない。



  何がいけないか、何が原因か。そんなものは分かっている。

 分かっている上でこうして愛でて、嘘を吐かれることを繰り返す俺はきっと、彼のところに行きたくても行けなくて、仕方なく俺で愛を補充する可哀相な帝人くんが好きで好きで仕方ないのだろう。


  今の帝人くんだからいい。彼を諦められない帝人くんだから、いい。

  諦めたいけど諦めたくない、彼の愛が欲しいけど貰えない。そうやって悩んでいく内に崩れていく可哀相で愛しい帝人くんを見たいから、愛でたいから今はまだ見返りのこない愛をただひたすらに注ぐ。

  嗚呼、俺ってばなんて健気なんだろう。なんて思いながら、また、彼を思って窓の外に思いを馳せる君の身体をそっと抱きしめる。



  「大好きだよ」


  「…僕もです」


  嘘だって、なんだって、結局嬉しいものは嬉しいのだから。



  虚言癖










fin.

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