DRRR!!
□手の甲に口付け
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「愛してますよ」
呟いた言葉に先輩はまたか、というようにため息をつき俺の顔を見た。
ああ、冷たい視線が俺に向けられている。
先輩のその視線が大好きだ。もちろん労ってくれる視線も好きだけど。
「青葉君って馬鹿なの?」
先輩はいつも酷いことを言いますね。
そう言ったら一層冷たい視線を送られるだろうか。それともボールペンが俺の手に刺さり天へ向かって垂直に立つことになるのか。どちらも俺にとっては嬉しいことだ。
俺は先輩に微笑みかけた。
「帝人先輩は天才ですよ」
「ありがとう。で、質問に答えてよ。馬鹿なの?」
あ、笑った。
でも目は笑ってない、ちょっと残念だと思う自分に苦笑する。帝人先輩の心から笑った顔って結構貴重だから残念だと思うんだろうけど。
黙ってる俺に飽きたのか目を窓の外に移す帝人先輩の夕日に照らされた横顔に見とれた。
嗚呼、なんでそんなに貴方は美しいんですか?
やっぱり俺は帝人先輩を愛してる、言葉じゃ言い表せないくらいに!
いつか貴方が俺を好きになってこの思いに答えてくれるまではこのままの関係でも俺は構わないですよ?
「愛してますからね、帝人先輩」
「……ほんと、青葉君って馬鹿だよね」
先輩を愛すことが馬鹿だって言うなら俺は別に馬鹿でもいいですよ。
俺は先輩のことを本当に愛してるのだから。先輩が疑っていたとしても俺は先輩を愛してる、絶対に。
そう考えながら先輩と同じように窓の外に目を移した。
「(………愛する先輩のためだから俺はなんでもしてるんですよ)」
手の甲に口付け
fin.... title by 虫喰い