DRRR!!

□印くらい、いいでしょう
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  ギリギリと強く握られ爪が食い込んでいる手首が痛いと悲鳴をあげている。僕は何も出来ないまま目の前にある冷たい笑みに涙を目にためていた。


  怖い、何がって、全てが。
 そう、全てだ。全てが冷たくて氷みたいで。
 触れたら、壊れてしまいそうな。



  「ひっ…うぁ、あっ」



  首筋にかかる吐息に背筋がぞくりとする。
 この人は何をしているんだろう、さっきまでパソコンに向かっていたというのに…何か僕がいけないことでもしたのかな。



  「いっ…あ、ぅ…」



  ぷつっと皮膚が切れるような音がして首筋に何かが垂れる感覚が伝わった。
どういうことなんだろう。
僕が何をしたのかな、ああ、痛いよ。痛いです臨也さん。



  「……甘い」

  「臨也、さ…」



  ちゅっと音をたててぼくの首筋から顔をあげた臨也さんの口には僅かに赤色が残っていた。

 相変わらず首筋からは何かが垂れていて、そしてそれが血だということもわかった。



  「何を、するんですか…」

  「嫌だった?」

  「………そういう意味じゃなくて…」

  「帝人君の味が知りたかっただけだよ」



  そう微笑んで鉄の味が残る唇を僕の唇に重ねた。
こんな鉄の味が甘いだなんて臨也さんはどうかしている。
それに僕は血が嫌いだし…。

やっと開放された手首を回しながらため息をつくとソファーにどかっと座り臨也さんが笑顔で手招きをしてきたので僕は臨也さんの隣に座った。



  「こうしてみると吸血鬼の気持ちが分かるよ」

  「吸血鬼、ですか?」

  「そう、吸血鬼。吸血鬼はきっと人間が好きなんだ。だから人間の血を美味しく感じられるんじゃないかって。俺も帝人君の血は美味しく思えたしさ」



  目を細めて僕の首筋を指でなぞり、臨也さんは指についた血を舐めとった。
 …臨也さんがそういうことすると本当に吸血鬼みたいだなぁ。

 僕は臨也さんの楽しそうな瞳を見ながら疑問を口にした。



  「臨也さんは吸血鬼の気分になりたくて噛み付いたんですか?」



  僕の問いに臨也さんはにこりと笑いながらそれもあるんだけど…と僕に顔を近づけた。



  「こうしとけばさ、」



噛み付いた場所を軽く指で触れて、



  「帝人君は俺のものだよって示せるでしょ?」









印くらい、いいでしょう










fin.....

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