DRRR!!
□残酷な刻印
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青→帝→正
「宿題、終わらせてくださいよ」
「…うん」
「さっきから全く手が動いてませんよ」
「…うん」
うんうんって…。この人には困ったものだ。でもそんなところが好きなんだから仕方がない。
でもさっきから窓の外ばかりを見つめ俺の言葉には生返事。先輩が思っている人のことは知っている、けどさすがにこれは…。
俺はため息をついてなるべく冷たい声色で先輩の背中に声をかけた。
「あの男は敵だったじゃないですか」
「……敵、じゃないよ」
「あいつが敵じゃなかったらダレが敵になるんです。あいつの組織は俺達と対立していて…」
「うるさいよ、その口を閉じて」
冷たい目で見られ言葉が詰まりすみません、と頭を下げ積み重なっているノートに目を移した。
先輩があの人を気にかけている間もあの人は俺達を潰す計画を立てているに違いないんですよ。
そう言いたくても言えずに言葉を飲み込み息をゆっくり吐いた。
「青葉君が正臣を敵だと思ってても」
相変わらず窓の外を見ながら先輩は俺に言っているのかまともな言葉を口にした。
「僕は敵だと思ってない」
「正臣は、きっと戻ってきてくれるから」
「…だから、」
微かに震えている先輩の手。
やめて下さいやめて下さいやめて下さい。
それ以上は言わなくていいです。いいですから、お願いだから現実を突き付けようとしないでください。
「……正臣…」
ぎゅっと握りしめられた拳と呟かれたあの人の名前に胸が締め付けられた。
残酷な刻印
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