薄桜鬼 小説
□流れ星
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……また泣かせちまった……。
国語科準備室が禁煙であるなんて基本的なことわかってはいるが吸わずにはいられず、土方は扉に鍵を掛けて窓を大きく開けた。
あいつを餓鬼扱いすることで一線引こうとしてる俺のどこが大人なんだろうな……。
窓枠に肘をかけて外を見渡していると、聞き覚えのある声がした。
「雪村さんっ重いでしょ? そっち持つよ」
「いえっ私が頼まれたことですからっ」
ジャージを着た彼女は、体育で使った道具を片している様で、結局断りきれずに重い荷物を奪われるが、軽い方だけでもと申し出て、男子生徒と並んで消えていった。
「……ぁちっ…」
煙草の存在を忘れてしまうほどに、その光景に釘付けになっていたらしい。
吸った気がしねぇ……
思わず口元から落としてしまった煙草を拾い上げて携帯灰皿に押し付けると、新しい煙草に火を点けた。