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□秘蜜
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羽堕とした堕天使は

汚れた契りに身をゆだねて

愛し合った過去でさえも

その手で消し去ってしまったの

―――1 人間と私と彼

「私、今日下天するね」

「リンジェ。俺も行く」

「いいよ。私一人でいく。」

今日は彼、カイトの誕生日。
だから天界から降りて、誕生日プレゼントを買いに行くの。

「そうか」

くるり とリンジェは反転して、天界から、羽を羽ばたかせて降りていく。

「―…。」

残されたカイトはリンジェの部屋へ行った。


――人間界

「カイトは青が好きなんだよね〜。アイスも好きだっけ?」

雑貨屋などを行ったり来たりしながらしていると、美しい瞳を持った女に出会った。

「こんにちは」

透き通るような綺麗な声。

「私はミクリアン。貴女は?」
「リンジェ。」

…私は。
リンジェで。
天使で。
彼もいて。
でも。

――嗚呼。

私は、彼女に恋をした。

天使と人間。
決して結ばれてはいけない。

「どうしたの?俯いて。」

ミクリアンが私の顔を覗き込む

私は気持ちが押さえきれなくなって。

ミクリアンの唇を奪ってしまったのだ。

「りん、じぇ…?」

戸惑いを隠せなくなっているミクリアン。

…私は。
いけないことをした。

私は、天使。
彼女は、人間。

決して結ばれてはいけない。

ならば。

私が、天使で。
彼女が、人間。

それがいけないなら。

私が、人間に、なればいい。

それなら。

彼女は人間で。
私も、


人間―…。

彼女と結ばれるためなら私は、この天使の証、羽を切り落としてしまおう―…。


羽堕とした堕天使は
汚れた契りに身をゆだねて
愛し合った過去でさえも
その手で消し去ってしまったの
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