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□紅一葉
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嗚呼

私は。
優を永遠に。

愛す。

だから。
貴方も。 私を。

愛していて下さい―…。

月明かりの照らしてる綺麗な綺麗な夜。
私は。
あの夜を思い出す。

唯。
貴方に寄り添っているだけで良かった。それだけで。私は。

充分幸せだったのに。

遠くの笛の音。
神楽太鼓―…。

ありふれた幸せはこんなに幸せでした。

いつか話そう―…。

―…もう二度と出会えることはありはしないけれど。

出逢えた喜び―…。

―…貴方と出逢ってからの私はこんなに幸せでした。

淡い愛おしさ知らずにいた。


貴方が私のもとから居なくなって。

私は 初めて分かったの。

こんなにも恋しくて。

愛おしいだなんて。


「―…あなた…」

巡音 留香(るか)

寂しい夜が彼女を襲う。

「留香。貴女こんなところにいたの?」

明子(めいこ)お姉さま。

「あら、姉様…」

明子の肩に紅い一枚の葉が乗っていた。

「姉様。葉が、肩に…。」
「あら。」

明子は気づいて葉を手に取り、留香の前へ、突き出した。

「綺麗でしょ。」

「えぇ。綺麗だわ。」

紅葉。

紅い紅い綺麗な紅葉。

貴方が私に出逢って初めてプレゼントしてくれたのは紅い紅葉だった。

「綺麗―…。」

「あげるわ。留香。」

明子は留香の頭に紅葉を静かに乗せる。

「可愛いわよ、留香。」

「ありがとう姉様。」

「まだ、あの人の事、忘れられない?」

「忘れられないわけじゃないんです。忘れたく、ないんです」

「そうよね。」

明子は静かにその場を去っていく。

「あなた…。」

留香は夜空を一人、見上げた
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