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□囚人
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「あっははは!」
「くすくす」
「生きていても仕方がないんじゃなあい?」
「でも、殺すことはできないのよ。未成年だもの。」
「あーそうね。牢獄にでも入れてしまいましょ」


民衆達に嘲笑われて。
僕は。
囚人となった。

「ばいばぁ〜い♪」

寧ろ。
殺されたほうがましだった。

…民衆に嘲笑われてまで生きろと言うのか。

「きっと。助けられる日がくるわ。」

背後から、透き通るような声がした。

助けられる?
そんな馬鹿な。

なかば余計なお世話だ、とか思いながら振り向いた。

声の主は柵の向こうに姿があった。


「助けられるわ。きっと。あなたが、信じるかぎり。」


そう思うならお前が助けてくれよ。

などと思いながら、目をこらす

帽子をかぶった薄黄色のワンピース。
髪は肩までぐらい。

彼女は柵に手を掛けて言う。


「こんにちは」

「……」

「…。」

しゅん、と悲しげな顔をする。

…ぅ。

彼は罪人ではあったが、男故にやはり女の涙に弱い。

「…こんにちわ。」

彼がそう答えると彼女は明るくなる。

「そう、名前は?!歳は?歳
は、…ぁ、…。」


彼は見張り人に室内へ連れていかれる。

「ぁぅ…」

「…」


…一人の囚人が、恋をしました

自由を奪われ。
迫害を受け。

罵られ、
虐げられ。

それでも、人間の最後には行き着く愛に、手を伸ばした一人の囚人の物語。

切なくて。
切なくて。

柵をはさんでしか話せなく、会えない彼女。

いつか…ぅうん、無理だろうけど、でも、僕がここから解放されたら…。

君に。





考えれば考えるほど。




セツナイ セツナイ
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