いつだって君を守るよ・短編
□いつも君を見ている
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「本番、入ります。
5秒前、4、3、・・・」
理沙は、腕を高く上げ、
出演者に向かって、キュー出しをする。
バラエティ番組の収録が始まった。
いっせいに観客の拍手がおきる。
そこは、MTV局内のスタジオだった。
理沙は、民放キー局のMTVに
就職して3年目になる。
バラエティを作っている
第2制作局に所属し、
ADをしている。
その現場は、有名大学を卒業したお嬢様には、
あまりにも過酷な職場だった。
本番では、ディレクターの指示を
インカムで受け、収録の現場仕切る。
進行内容に注意を払い、
カンペを出して、出演者に指示をだす。
収録が終われば、
長時間にわたる編集作業が待っている。
次の企画の取材交渉や、
機材やスタッフの手配。
出演者にトラブルがあれば、調整し、
ケータリングの手配までと雑用は果てしない。
プライベートな時間もロクにとれない、
過酷な現場だった。