Drop
□転校生と私の任務
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日が昇るとともに、ゆっくりと目が開かれてゆく。
隣に置いてある時計に目を移せば、まだ五時を指していた。
そういえば........不思議な夢を見たな.....。
大切な夢な気がするのに思い出せず、イライラし始めると共に隣にいる人物の体が身じろいだ。
「.......ん.........」
寝返りをうつと、ひっそりと目を開けた。
起きていた私に気がつくと、子供のように抱きつく。
「伊織.....それじゃ首が痛くなるよ」
誰がどう見ても変な寝方をしている伊織。
だが音梦の言うことは聞かず、まだ抱きついていた。
(仕様がないな...)
自分に回された腕をゆっくりと解くと、頭を撫で彼をベッドに寝かせた。
布団を直して、頬に手を置いた。
ー私が伊織を守るからー
そう、心の中で吐いて。
午前六時食堂にて_。
「おっはよーー!」
笑顔で挨拶すると、周りからも挨拶される。
音梦と伊織は朝食を頼むと皆が座る場所へと行く。
「翼、美咲おはよー!」
「おぅ、おはよ。」
「音梦!伊織君!おはよ!」
座ると、周りからの挨拶がたえない。
高等部に居ながらも、中等部、初等部と沢山仲良しな生徒が居る為、
皆によく知れた二人。
特に音梦は愛想良い為、好かれる事が多かった。
「あ、そうそう。音梦。今日初等部に転校生が来るらしいぜ!」
笑顔で話す美咲に、音梦はうんうん、と一緒に喜ぶ。
伊織はというもの、隣で今井と櫻野に挨拶していた。
「おはよう。音梦」
「あ、おはよう、秀!昴おはよーー!!」
音梦に挨拶をすると、二人は伊織の隣に座り朝食をとり始めた。
「音梦。そろそろ行かないと授業遅れるよ?」
「あ、うん!行く!」
櫻野に呼ばれた音梦は素早く朝食を済ませると、席を立った。
「伊織、放課後教室に行くね!」
「うん.......」
残る中等部生徒に手を振り、音梦は笑顔で走って行く。
ー私が伊織を守るからー、か。
残された伊織は、一瞬泣きそうな顔をした。
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