Drop
□一番大切な人は?
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「それでさ、レイ君。依令、どうすればいい?」
車に乗ると、伊織の額にタオルを、依令の口元を奇麗に拭いた。
「......直ぐに入学手続きが出る。それまでお前の部屋に置いておけ」
「分かった」
学園に着くと、伊織を抱き上げた。
まだ熱に魘され、息が荒かった。
そこに通ったのは、私の救世主、
「棗!!!!!」
棗だった。
「.....ったく.......何で俺がこんなこと................」
「ごめんね.......生憎私は二本の腕しかありません」
依令を背負う棗。
本当に悪いと思っているが、何と私の手料理付き。
「...........で、コイツ誰だ?」
「依令くんです。」
意味わかんねぇ.....と顔をしかめる棗に、音梦は微笑む。
「これから私が闇から救い出す少年です」
そう吐くと棗は俯く。
「........ならいい」
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