Drop

□琥珀色
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竜葉は寝られず、本を手に取って読んでいた。
時計をみれば午前三時を回った所だった。
寝よう、そう思ったときドアに気配を感じた。



「…………誰だ……」


ドアに近づいて問うが、相手は反応しない。
ドアノブに手をかけようとしたとき、一人で開いた。


「.……琥珀!?」


そこには、血塗れで立っている琥珀。
目には光が無かった。


「……見つけた…」


知らない人が見たら驚いて気絶するであろう、血塗れの少年。
綺麗な檸檬色の髪は紅く染まっていた。


「…………ぅ、」


口に手を当てると共に、体が崩れ落ちる。
咄嗟に支える竜葉の服も血で汚れる。



「入れ、早く」



口を覆う手からは血がボタボタと落ちていた。

抱きかかえてソファーに横にすると、直ぐにクローゼットへと向かう。


「琥珀の服……琥珀の服……」


血塗れの服を嫌う琥珀に、清潔な服を着せるのが最優先。



「キモ…い………ね…」

「喋るな、休んでろ」


体を拭いてゆく竜葉。
キリが無いと判断したのか、風呂場で血を洗い流していた。


昔と変わらない白い肌
檸檬色の髪はとても綺麗で


誰にも見せない右目は翡翠色。


随分窶れて、衰弱して
それでも止めるのが嫌で

時々見る姿は壊れそうなんだ。



「………少しは楽になったか…………」

「う……ん…………」


抱きかかえると、目を閉ざして体を自分に預けてくれる。
ソファーに寝かし、しまわれていた布団をゆっくりと被せる。

「……体調は………大丈夫か…?」

「……う…ん…………他に…誰か居る…?」

「いや………大丈夫だ…………」


竜葉に確認をとる。
それから、琥珀は目を開けた。
死のアリスを持つ琥珀は、目に映した者誰でも殺せる。
だが本当に心を開いた者にはアリスが使えないとか。


「…………大丈夫か、琥珀」

「うん、ありがとう」


まだ苦しそうな表情に、竜葉は目を細める。



「休んでた方が良いんじゃないのか、顔色悪いぞ」

「酷いなぁ、久々の再会に」

「久々の再会に倒れ掛かってきたお前が言うな」



それでも…………、



「…………おかえり………」

「ただいま」


会えないのではないか、と思った自分がバカに見えてくる。
今は_________













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