Drop

□依存、貴方。
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何時出会ったのかは覚えてない。
何年前かも、何日かも。
けれど互いに惹かれ合っていった、

何時しか別れが来て運命を引き裂いても。




《好きだよ、》

《俺はそんなの望んでない》

《嫌いだ、大嫌いだ、俺の前から消えろッ!》


「……琥珀!!」

「う、わぁっ!!!!」

「魘されてたけど大丈夫か?」

「今は大丈夫じゃない..」

どういう意味だ、と不機嫌になる竜葉。
琥珀はクスクスと笑っていた。

昨日の任務から真っ先に向かったのは竜葉の部屋。
任務から解放された、と言ったら嘘だが。


「…お腹空いた……」

「食堂行くか?お前一応生徒だろ?」

「…………、」


何も言わず俯く琥珀。
そっと、ベッドに端に座った。

「…………心配性だな、琥珀は。どうした?」

「どうせ………、誰も僕の事覚えてないんだから………
 知られないまま、死にたい………か、ら……」


弱々しく微笑んだ琥珀は、泣きそうな顔をしていた。


「…………最後には皆知る事になるぞ。
 それでも………良いのか?」

「…………うん。でも、」




ー最後にさ、翼達に会いたいかなー






小さな願いに、優しい笑顔。
自然と、笑顔になった。




「…………あの、さ」

「ん?」

「余命………、」


あ、言うの忘れてた。と微笑んだ琥珀。
そっと竜葉の手を握った。



「………僕ね、何時死んでも………可笑しくないんだ」

「…………は………?」


だって、余命………って一年とか、一ヶ月..とか。


「ごめんね、竜葉。ごめんね、ごめんね、ごめんね、
 もう良いから……。僕竜葉に傷ついてほしくないんだ………、だから……もう良いから」



僕をおいて消えても、
 それで良いって思えるから


「謝るな。お前は悪くない……。ずっと、一緒にいる。
 ずっと、ずっと居るから。お前と一緒にいたいんだ」





「………あ、り……が………とう………っ」



泣かないで。


お互いにそう思っていた。
一緒にいたいのに、


消えることのない闇、それは光がある証拠で

 夢見る事を諦めずにいたそれが私だから

 雪が白いのは空が蒼く光るから

 君が笑うのは、世界で一番綺麗な奇跡

 一緒にいるという幸せそして希望



何日ぶり?嫌、何年ぶりだろう詩を歌うのは。


夢を見た。君が笑う、泣く事のない空の下で

 消える事のない闇の下で世界が泣くのだから

 血が紅いのは君が白く笑うから

 光るのは、これまでで一番の宝物

 泣くという幸せそして悲しみ______



 泣かないで、一緒にいるから
 消える事のない幸せを届け
 終わる事のない悲しみを捧げる
 



約束しよう、隣にいると

泣く事のないように幸せを捧げる

君が消えるのなら世界と共に


捧げる、愛の詩よ_________________

















良く見ると、琥珀は眠っていた。
アリスを使っていないのにただ唄っただけだった。

「お前を...尊敬するよ」






その日は隣で、一緒に眠った。








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