Others
□青いリンゴをあげる
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ただ愛しい人へ、と同じ主人公です。
「キレドリ、大丈夫?」
「何がだ」
「顔が、赤いわよ」
任務帰りだろうか、服が所々汚れていた。
私は午前中に帰ってきていて、科学班の手伝いにでも行こうか、と思っていたときキレドリとばったり居合わせた。
その額に手を伸ばすとやっぱり、少し熱い気がする。
「やっぱり熱いわ。だるくない?」
「言われてみれば、少し、だけ」
「今日はゆっくり休んで。後から薬持って行くわ」
頼む、と小さく呟いた彼を見送り、まずは医療班へと向かう。
婦長に薬を貰い、熱冷まし、それとりんごを食堂で。
全てを持つと、彼の部屋へと向かった。
「キレドリ、私よ」
コンコンっ、とドアを叩くと中からキレドリが顔を現した。
「入っていい?」
「あぁ」
横になっていたようで、顔は見たときより赤くなっていた。
お風呂上りだ、と言った彼だったが余り説得力が無かった。
「雨が、降ってた」
「そっか。任務中は雨なんて関係ないものね」
だるそうに話すキレドリ。
こんな姿を見ていると、やっぱり子供なんだな、と思ったり。
「少し寝なさい。薬飲む時間になったら起こすから」
「.....ん」
布団を肩まで掛け直すと、額に熱冷ましのシートをはった。
熱い吐息、食べたばかりだし薬を飲ませるまで少し待つ。
「キレドリ、入りますよ」
(トクサ....?)
外から聞こえた声に、ドアを開けたのは案の定トクサだった。
「あら、以外な人が居ますね」
「トクサこそ。どうしたの?」
「明日の任務について伝えに来たのですがね」
「残念、風邪よ。」
そうですか、とトクサは小さく返事をした。
「私で構わなかったら代わるわ。明日、非番を頂いてるの」
「そうですか、ならお願いしましょうか」
生憎、私に病み上がりの少年を任務に出す勇気など無い。
明日は前々から非番をもらっていた日だし、誰かに頼めばきっとキレドリを見てくれるはず。
もう直ぐ薬を飲ませなきゃ。
水を持って来、眠る少年をゆっくり起こした。
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