小説【恋戦隊LOVE&PEACE】

□日曜の朝
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ここはJガーディアンズモニタールームである!

今日は日曜日、しかしJガーディアンズに休日は無い!
地球に訪れる危機は、時間や曜日を問わずやってくるのである!
助けを求める声が聞こえれば、早朝だろうと深夜だろうと、
休日だろうと祝日だろうと参上する!
局のADも裸足で逃げ出す労働環境!それが正義のヒーローなのである!

というわけで、日曜の朝にもかかわらず赤木はモニタールームで今か今かとその刻(とき)を待っていた!

「あと、1分・・・30秒・・・10秒・・・!」

赤木の目はいつになく真剣に、まるで獲物を狙う猛獣のようにギラギラと輝いていた!


「・・・・始まるっ!!」



『福神戦隊!! シチフクジャー!!!』



荘厳かつ雅やかなオープニングテーマと共に、
今ちびっこに大人気の戦隊ヒーロー特撮ドラマ『福神戦隊 シチフクジャー』が始まった!


「うおおおおぉぉー!!反撃の隙を与えない見事な棍棒攻撃!!流石シチフクレッドだ!!!」

説明しよう!
シチフクレッドとは毘沙門天をモデルにしたキャラクターで、男の子からの指示を一身に集めるシチフクジャーのリーダーである!
さらに補足ではあるが、シチフクジャーは主要キャラクターであるレッド・ブルー・イエロー・ピンク・ブラックの他に補佐役キャラクターとしてゴールド・シルバーが登場するとてもゴージャスな戦隊アニメなのである!



『すべての煩悩が無くなる日まで!戦え!福神戦隊シチフクジャー!!』



「ああ、今回も大満足の内容だったな!特に最後の巨大ロボ、タカラブネ☆セブンが最高にカッコよかった!
早くウチにも巨大ロボが導入されないかな〜!」


赤木が大音量で独り言を叫んでいると、モニタールームの扉がシュッと開いた!


「・・・うるせーな。独り言っつーのは他人に聞こえるか聞こえないかくらいの音量でつぶやくもんだぜ」

「おお、黒峰!おしいなぁ〜あとちょっと早く来ればタカラブネ☆セブンから発射される御利益砲が見られたのに!!」

「別に見たかねぇよ。それより、赤木。早くそこどけ」


黒峰はそう言うと、いまだ興奮冷めやらぬ赤木をずずいっと脇にどかし、巨大モニターの正面に陣取った!



『覆面ライダーAAA(エーズ)』


なんだかカッコイイオープニングと共に、最近ちびっこだけでなくその母親や一部の女性にまでも支持されているヒーロー特撮ドラマ、『覆面ライダーAAA(エーズ)』が始まった!


「へぇ、そこでカブトンイナコンボを使うとは・・・やるじゃねーか」


説明しよう!
カブトンイナコンボとは、主人公エーズが変身ベルトに挿入した3つのエーバッジの力によって、
カブト・トンボ・イナゴの特性を兼ね備えた形態になったということである!
変身の形態はこの3つのエーバッジの組み合わせによって様々に変化するのだ!
ぶっちゃけ複雑すぎてナレーションにはよく分からないのである!


『まさか・・・・!お前が・・・!?』


「ふーっ、今回も人間の内面の闇を深くえぐりだすシリアスな展開がたまらないストーリーだったぜ。
結局エーズは裏切られるのか、来週が待ち遠しいぜ」


黒峰が満足そうにモニタールームを出て行こうとすると、今まで黙ってモニターを見つめていた赤木が黒峰に向かって叫んだ!


「ちょっと待てーいっ!!」

「あ?なんだよ、まだ居たのか」

「なんだなんだ、今のは!?話の展開が全く読めなかったぞ!!こんな分かりにくいストーリーが子供向けだって言うのか!!?」


赤木はわなわなと震える拳を胸の前で握り締め、黒峰に詰め寄った!


「はっ!そりゃあお前がバカなだけだろ。最近のガキはこんくらい余裕で理解できんだよ」

黒峰は赤木の問いかけを一笑に付した!

「なんだとー!!第一、会話に出てくる言葉が完全に子供向けじゃないだろ!!サブタイトルからして欲だの疑いだの・・・
一体ぜんたい、誰に向けて作られたんだこのドラマは!!」

「それを言うならてめぇが観てるナントカレンジャーはどうなんだよ!
何十年も前からストーリー展開もキャラの性格も何も変わってねぇじゃねーか!水●黄門かっつーんだよ!!」

「ナントカレンジャーじゃない!シチフクジャーだっ!!そして水●黄門を馬鹿にするな!!」

「別に水●黄門は馬鹿にしてねーよ!馬鹿にしてんのはてめぇの幼稚園生並みのおつむだ!!」


両者は一歩も譲らず、二人の言い争いはその後30分間にわたって繰り広げられた!


時刻は9時!
その時またしてもモニタールームの扉がシュッと開いた!


「あれぇ〜?ふたりとも、朝っぱらから何してんのさ?」

「猿飛、止めてくれんなよ!俺は俺の名誉と覆面ライダーを愛する全国の皆様の為にコイツに勝つ!」

「そうだぞ!このまま引きさがったら戦隊ヒーローを愛する子供たちに顔向けが出来ない!!」

「ふ〜ん?どうでもいいけどさ、チャンネル変えていい?」

猿飛はそう言うと、リモコンを手にした!


「あ〜あぶねーっ!もうオープニング明けじゃん!セーフセーフ!」


猿飛はチャンネルを変え、国民的大人気マンガを原作にしたアニメの再放送を見始めた!


「ねぇねぇ、ふたりとも。折角だから一緒に観ようよ〜」

赤木と黒崎は顔を見合わせた!

「・・・ああ」
「そうだな、一緒に観るか!」


今日は日曜日、Jガーディアンズは平和である!


***

ヤマなしオチなしイミなし!(健全な意味で←
黒峰さんは絶対ライダー派なんだろうなぁと思って。
しかし特撮モノには疎いのでその部分書くのに無駄に時間食いましたw
ちなみに、シチフクジャーとAAAは創作というかパロディですw
実在のの団体やヒーローとは一切関係ありません!

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

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