小説 幕末志士の恋愛事情
□第三章
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邸内の会合が開かれる部屋へ案内された
その部屋で待っていたのは高杉晋作だった
もう名前には驚かない
なんとなくそんな気がしていた
ただ・・・
高杉晋作という男から受けた印象には少し驚いた
歴史で、名前だけしか知らなかったのもあるけど、勝手なイメージで、桂小五郎と同じような厳格な感じの人物かと思っていた
ところが・・・
「よく来たな!!!」
大きな声、歌舞伎な格好に、ノリがよさそうな雰囲気・・・少し少年のような感じもとれる・・・俺様的な雰囲気も・・・
「・・・ん?なんだその洋装女は?」
あたしを見つけると、近くまで寄ってきてまじまじと見つめる
あまりの距離の近さに、少し対応に困っていると龍馬があたしと高杉晋作の間に割って入ってきた
「高杉さん、初対面でそげに見られるとこん子も困ってしまうぜよ。。。」
「なに?そうなのか?」
真剣な眼差しで、あたしに問いかける
無言で頷いた
「言葉にならんくらい困ってたのか・・・すまん!」
頭を下げると、すぐに間を広げた・・・・極端な人だと思った
あたしと高杉晋作のやりとりがひと段落したことを確認して、龍馬は私の紹介をしてくれた
「改めて紹介するぜよ。彼女は、二宮塔子っちゅうもんじゃ。実はの・・・」
龍馬は、私との出会いを話し始めた
そういえば、自分の話をさせられただけで、気を失ってから目覚めるまでのことは聞かされていなかった
龍馬の話によるとこうだ
鴨川の浅瀬に、傷だらけで倒れていたあたしを見つけて、彼らが逗留している寺田屋に運んで介抱してくれていたとのことだった
今思うと、彼らに見つからなかったら、あたしの命はどうなっていたかわからない
今更ながら、彼らに対する感謝の気持ちが大きくなった
「なんでまた、傷だらけでそんな場所に?」
最初に疑問を投げかけてきたのは桂小五郎だった
「それがのう・・・なんかのはずみで、こっちに来たっちゅうが・・・・・・」
あたしが、さっき話した内容を続けた
話を聞き終えて、高杉晋作が口を開いた
「お前、坂本のことを知っていたんだよな、しかも、お前と坂本が同じ時代にいるはずがないと・・・・あと、拳銃に洋装・・・・・」
何かを考えている様子で、しばらく黙っていたが、思いついたのか突然、声を張った
「わかったぞ!お前、未来から来ただろう?」