小説 薄桜鬼 短編集
□うたかたの恋
2ページ/25ページ
近藤達が浪士組となり江戸を離れ一年が経った
新撰組の屯所は二度目の春を迎える
近藤は、屯所内にある桜を眺めていた
すると
なにやら門が騒然となってきた
(なにごとだ?)
足早に門に急ぐと
門番と、一人の浪人が言い合いをしていた
その浪人は、綺麗な顔立ちをしていた
「おい、何事だ?」
門番に尋ねると
「局長!!すみません。この者が局長に会わせろだの、隊士にしろだの・・・」
ふと、門番が手を焼いている人物に目をやると
「・・・近藤さん・・お久しぶりです」
沙耶だった・・・
長旅のせいか、少しやつれていた
「沙耶・・・お前、一人でここまえで来たのか?・・・」
門番が二人のやりとりを驚きの表情で観ていた
「あ・・・すまん、こいつは試衛館時代の門弟だ。このまま番をつづけてくれ」
「そうでしたか!失礼しました!」
門番は、持場に戻った
近藤は、沙耶を一先ず空いた部屋に連れて行った