小説 幕末志士の恋愛事情


□第三章
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あたし以外の全員が驚きの表情を見せた




「未来!!!?」




「そうとしか考えられん・・・そうだろ?塔子」




さっそく呼び捨てにされていた・・・まぁ、年上には違いないか・・・




「ええ・・・多分そう。今この部屋にいる全員の名前くらいは、聞いたことがあるし、今がどんな時代なのか、だいたい予想はついてる・・・詳しくはわからないけど・・・」




さらに、驚愕の表情を全員が浮かべる





「未来でも俺達は有名人なんすかっっ!それって今進めていることが成就するってことっすか!?」



目をキラキラさせながら、あたしに質問をぶつける中岡慎太郎




「・・・それは・・」



と、言いかけたところを




「ちょい待ち」

「待て」



ほぼ同時に待てをかけられた



高杉・龍馬の二人だった



「これから作る未来を知るのはつまらんだろう。それに、知ってしまうと、変に時代が変わってしまうことが起こりかねん。」




核心をついた意見を高杉晋作は言った



それに同感とばかりに頷く龍馬



あたしのことも言い当てるのといい、本当に頭の切れる人物だ・・・子供っぽいところもあるけど





「しかし、お前がこの時代に来た理由はなんなんだろうな?元に戻る方法はわかってるのか?」




高杉晋作の鋭い見解は続く



「この時代に来た理由も、帰り方も・・・わからない」



はっきり答えた



「・・・お前は、不安じゃないのか?さっきから淡々と他人事のように話しているが」




高杉晋作は、あたしの態度に疑問を抱いた




仕事柄、感情をあまり表に出さない癖がついてしまっているせいか、そうなってしまう


正直、不安だった



しかし、半ば諦めていた



最悪、遊郭にでも身を売るしかないかぐらいは覚悟していた部分はある




とりあえず、自分の癖であることを伝えた

「仕事柄、どうしてもこんな態度になってしまうだけ・・・」




そんなあたしを見かねて龍馬が話かける



「塔子、わしたちを信用してくれんか?寺田屋に連れてきた時から、あんたの面倒はわしが見ちゃると決めとったんじゃ」




龍馬の言葉に、はっとした




「え・・・・・」




思わず龍馬の顔を見た



龍馬は、笑顔で頷く



その笑顔で不安は一気に取り去られた



あたしの顔からも自然と笑みがこぼれる




「・・・ありがとう」



「にしし・・・素直が一番ぜよ」



あたしの頭を優しくなでる




そんなあたしと龍馬のやり取りをみて高杉晋作が龍馬に詰め寄った



「ずるいぞ!!俺が、この女の面倒をみる!」




まるで、おもちゃを奪おうとする子供のようだった
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