源平ラバーズ

□武蔵坊弁慶 奈落終幕リメイク
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私達は、平氏の目から逃れるように



山道をひたすら歩き続けていた






「静、大丈夫か?」





険しい道のりの中、義経様が何度も私のことを気にかけてくれる





「はい、大丈夫です。有難うございます」






そんなやり取りを見て、一番先頭を歩いていた弁慶様が義経様にあきれた様子で言葉を発した




「そんな何度も何度も足を止めてちゃあ、先へ進むのに相当時間がかかってならねぇ。
そんな気にしなくても御前はしっかりついてきてるじゃねぇか。
過保護すぎるぞ、義経」




「うるせぇ!静は女なんだ。
心配して何が悪い。
俺達男と体のつくりが違うんだよ!
この木偶の坊!」



弁慶様の発言に、少し苛立った様子で答える義経様だった






「ったく、鼻の下のばしやがって。情けねぇ」




「んだとーっ!!」





買い言葉に売り言葉・・・





今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうになった





「お二人ともお止めください!!!」





二人を止めようとするが、二人の火花はさらに大きくなりそうだった





「鬼一さん、なんとか・・・・あれ?」





殿を務めていた鬼一さんに助けを求めようと、後ろを振り向くと
鬼一さんの姿が、かなり後方にあった


しかも、具合が悪そうな表情を浮かべている




「鬼一さん!!大丈夫ですか?」






その言葉に反応して、喧嘩ごしになっていた二人も、鬼一さんに目をやった





「どうした!鬼一殿!!大丈夫か?」





私達は、急いで鬼一さんに駆け寄る







「・・・すまねぇ、なんだか体が重くてな・・・。」




真っ青な顔をしてぐったりしている鬼一さんだった





「鬼一さん、あちらの切株に腰を掛けて。」




私は鬼一さんを切株に誘導し、休ませる





「よし、俺は、休めそうなところを探してくる!待っててくれ!」





義経様は、寝床になりそうな場所を探しに奔走してくれた





弁慶様は、鬼一さんに飲ませる水を汲みに行った






しばらくすると、義経様が、戻ってきた





「この先に、誰も使ってない庵があったぞ。今日はそこで体を休めよう。」






そして私たち一行は、庵に向かった
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