源平ラバーズ

□雷鳴と共に(教経様の話)
2ページ/6ページ

部屋の掃除を始めて、数刻たった頃




雨は激しさを増し、雷が鳴り始めた





―ピカッッ―




空を見上げた瞬間だった





「きゃあっっ!!」




稲光と共に、私の体を熱い何かが走ったのだ




それと同時に、私は意識を失った






「…………かっ!」




鬼一さんの声が聞こえる





「静っ!!大丈夫かっ!!おいっ!!」





「う、うぅ…」





「目が覚めたか!!」





鬼一さんが、ほっとした表情を浮かべた





―私は一体?…―


そう言いかけたその時




「鬼一さん、有難うございます。私は大丈夫です。掃除の続きをしましょう」



私の意思に反して、言葉が紡がれる……というより、私以外の誰かが、話している?




「あ、ああ…本当に大丈夫なのか?静」




心配そうに、私を見る鬼一さん





「平気です。さ、早く掃除をしましょう。」





私の意思に反して、口から紡がれる言葉に、少し戸惑う



腑に落ちない顔で、鬼一さんは、自室へ戻っていった





「あなたの体は、私のものよ」




―え?誰?―



私の中に、誰かがいる?






「あなたの体を乗っ取ったわ………ふふ」





鏡越しにうつる私は、なにか邪悪な笑みを浮かべて私を見ている





―あなたは誰?―




「教える必要などないでしょう。おとなしくしてなさい。」





―あ………―



私の意識は遠退いていった
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ