ちょっと暗い
秋の雨って人を暗くさせる(笑)






大雨洪水警報
テレビにテロップが表示されたのを確認して、電源を落とした。
窓の外、空には黒い雲が広がっていた。
数分も経たないうちに部屋の中も薄暗くなって冷たい風が流れる。

「窓、窓…」

そう、呟いて今いるリビングと寝室の窓を閉めて、先ほどまでいたリビングのソファーを通り過ぎて窓のすぐそば、フローリングに座る。


それからすぐ、ポツポツ…と余韻を与えることなく降り始めた土砂降りの雨は政宗から聴覚を奪っていった。

「……」

雨は嫌いだ。
でも時々、好き。
ジーッと外を見つめる。
時折吹く強風に窓が濡れた。

「ただいま帰りましたー!」

ガチャガチャと玄関の音と共にびしょ濡れの幸村が帰宅を告げる。
しかし、いつもある政宗の出迎えはなく家の中もどことなく静かで人の気配すら感じない。

「政宗殿ー?」

玄関に靴はある。
脱衣所で、濡れた服を洗濯機に放り投げてスイッチを押す。
肩にバスタオルを掛けた下着姿で薄暗いリビングのドアを開けた。

「わっ」

リビングの奥、窓の前に座り外を眺めていた政宗の姿に驚き声を上げたが、豪雨に消された政宗の聴覚には幸村の声は届いていないようだった。

「政宗殿」
「…幸村、おかえり」
「どうしたのですか?部屋の電気も点けずに」

その儚げな背中を幸村は後ろから抱きしめる。
振り向いた政宗は無表情で、幸村は笑みを見せると軽く触れるだけのキスをする。

「雨がうるさくて」
「はい」
「暗くて」
「はい」
「なんでか落ち着いて」
「はい」
「一緒に堕ちていきたくなった」

政宗はまた窓の外を見つめる。
いまだに彼のこういう思考というか、何を考えているのかわからない時がある。
幸村は政宗にもう一度口づけ、そのまま床に押し倒した。

「何」
「なんとなく」
「つか何で裸なの?」
「服がびしょ濡れだったんで洗濯機に入れてきました」
「するのか?」
「嫌ですか?」
「んーん、いーよ。シよ」

政宗は幸村の首に腕を回して引き寄せる。
濡れた幸村の髪から雫が落ちて政宗の頬を濡らす。

「ちゃんと拭けよ、風邪ひいても知らねえぞ」
「じゃあ、政宗殿。拭いて」

政宗は床に背をつけ、幸村の肩に掛かっていたバスタオルを手に取ってガシガシと拭いてやれば、タオルの隙間から気持ちよさそうに目を閉じる幸村の顔が見える。

「そんなに欲しそうに見つめないでください」
「…見てねえよ」
「嘘」
「…っ」
「ほら。目、合った」

ニコリと微笑まれ、近づいてくる顔をタオルで覆い隠そうとするが、その手をあっさり床に縫い付けられる。

「締まりねえ顔見せんな」
「政宗殿こそ、そんな可愛い顔見せないでください」
「可愛くねえ!」
「いいえ、可愛いです」
「ぁ、ちょっ…待てよ、幸村っ!」

クンクンと政宗の匂いを嗅ぐように首筋に顔を埋める。
舐めたり吸ったり噛んだりを繰り返して下降していく幸村に政宗はただ熱く息を吐くことしか出来なくなってくる。

「っはぁ…、な、っ噛むな!」
「感じちゃうから?」
「おっまえ…!…性格変わりすぎ、だろっ!」
「言葉攻め好きですよね」
「答えになってねえよ!」

じたばたと暴れる政宗に幸村はお構いなしに行為を続ける。
服の上から政宗の下腹部をやんわりと触れば、そこはもう硬く主張していてなぞるように指に力を入れる。

「っ、ん…ぁ……ん、っ…」

いつからだろう。
布越しの物足りなさに腰を振って幸村の手に自身を押し付けるようになったのは。
醜態に顔を染めながらも止まらない政宗の姿に幸村はくすりと笑い、下着ごと部屋着のハーフパンツを脱がせると躊躇することなく己の口に政宗のものを銜える。

「っ、ぁ…あぁっ…!」

ビクンと腰が跳ね上がり、幸村の口の中に欲を吐き出してしまった政宗。
射精した気持ちよさと驚いて呆気に取られてた顔もすぐに正気に戻るとあまりの羞恥心に手にしていたタオルで顔を隠してしまう。

「政宗殿」
「こ、こんなはずじゃ…っ」
「政宗殿」

政宗からタオルを奪い床に放り投げる。
政宗は泣きそうな顔で幸村を下から見上げ、幸村の腕を掴む。

「ご、ごめ…っ」
「何で謝るんですか?」
「だって、銜えられた瞬間に口に出すなんて…俺っ…、あ。…飲んだ、のか?」
「はい」

幸村の答えにますます顔を染め、あわあわと慌てる政宗に幸村はキスをする。
途端に広がる苦味というかなんとも言えない自身の出したものの味に政宗は眉を寄せる。
くちゅくちゅと水音を立ててかわすキスは忙しなく政宗の口腔を荒らしては離れを数回繰り返す。

「っはぁ…はぁ、っ…」

互いに呼吸を乱していたが、一足先に動き出した幸村が政宗の後ろに触れる。

「あ、ちょ…幸村っ、」
「何ですか?」
「ここ、背中痛い」
「我慢してください」
「はぁ?おいっ!」
「嘘ですよ」

幸村は政宗の体を起こし、よっと軽々しく持ち上げると寝室まで運び、優しくベッドに降ろす。

「…なんつーか、軽々しく持ち上げるなよ。情けなくなんだろ」
「政宗殿が華奢というわけではないでしょう?俺が力に自信があるから出来ることですから」
「さらっとイヤミなやつだ、…んっ…」

下から睨む政宗に幸村は可笑しそうに笑い、そして話はまた後でとキスで遮り行為を再開した。



窓の外はもう雨が止んでいた。





「なぜあんなにおセンチだったんですか?」
「…ん、っ…もう寝ねえから、手離せよっ…」

情事後、湯船の中で後ろから政宗を抱きながら幸村が尋ねる。
うとうとと寝てしまいそうになる政宗を寝かすまいと、体中に手を這わせている。

「で?」
「わかんねえ」

結局、いつもこうなのだ。
『わからない』
当の本人は大して気にしていないが幸村はいつもあの背中を見ると胸騒ぎがして落ち着かない。
政宗が自分を置いて何処かへ行ってしまうのではないかと。

「…幸村?」

無意識に強まった腕の力に政宗が振り返る。
その心配そうな顔にホッとして幸村はキスをしながら政宗の体を反転させる。

「おい、幸村!?」
「久々に風呂場でしましょう」
「はぁ?や、いやだ!」
「無理です、もう勃っちゃいました」
「ざけっ、…!ちょ、弄んな!!」

結局、政宗のあの姿をこの先幾度となく見ることになるのに変わりはないのだが、その度にこうして肌を合わせてアナタの居場所は此処だと伝えればいい。

幸村はそう自分に言い聞かせ、政宗を腕の中へと閉じ込めた。




end

前半病宗、後半病村(笑)
サナダテは永遠に分かり合えないというか、なんだろ?
わかんない(しっかりしろよ)

政宗は自分自身が見えなくなるタイプ。
幸村は政宗しか見えなくなるタイプ。
まぁどっちかと言われたら、幸村のが危ないよね、当然(笑)

ただ途中、政宗可愛くしすぎた。
銜えただけでイっちゃうってどんだけよ!!!(笑)
かわいいなぁ、こんにゃろう!←

わたしのサナダテ基本的に甘ったるいですが次回はもっと甘ったるくしたいなぁ。





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