novel
□Love in Snow
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《Love in Snow. From prologue》
「政宗殿、雪です!」
「…あぁ?」
寒さに冷える朝、肩の揺れと幸村のはしゃいだ声で重い目蓋を開けた。
軋む身体を起こすと、幸村は窓に張り付き辺り一面の白銀に目を奪われていた。
「…だな」
はしゃぐ幸村とは違って、雪の多いこの土地で育った政宗には特別珍しい景色ではなかった。
幸村が前まで住んでいた辺りではあまり雪が降らなかったのだろう。
幸村のはしゃぎぶりを見てればわかる。
積もる度にこんな感じだ。
「…さむっ」
しばらくぼーっと景色を見ていたが、素肌にはキツすぎる寒さにまた政宗はベッドへ潜り込み、まだ早い朝にもう一度寝ようと目を閉じた。
「政宗殿、起きてください」
「いやだ」
「某、雪だるまが作りたいでござる」
「一人で作ってこいよ」
せっかくの休日だ、まだ寝ていたい。
それでなくても低血圧の政宗は早起きが苦手だ。
幸村には申し訳ないが、とても寝起きに外へ行けるほど元気はでない。
「政宗殿ぉ…」
寂しそうな幸村の声を聞きながら、目を閉じればあっという間にまた夢の中へ堕ちていった。
「んー…」
遅めにセットしておいた目覚まし時計が鳴った。
腕を伸ばして、アラームを止めるとガバッと勢いよく起き上がる。
そうしないとまた寝てしまうからだ。
寝癖でボサボサな髪のまま窓の外を見れば、近所の子供達に紛れて、幸村がいそいそと雪だるまを作っていた。
「…お似合いだ」
ニコニコと子供達と戯れながら頭の部分を慎重に重ねる幸村に子ども達の視線が集まる。
重なると歓声がおき、持ち寄った小枝や石などで手や顔を作り始めた。
すると、ふと顔を上げた幸村と目があった。
来て来てと手で招かれる。
「仕方ねーなー」
相手が子供だとしても、自分のいない所であんなに楽しそうにしてるのは正直妬ける。
政宗は幸村のそれに頷くと着替えを始めた。
「おはようございます」
防寒バッチリな政宗の姿に幸村が声を掛けた。
「おう。しっかし、またデカいの作ったなお前ら」
政宗が幸村たちの所へ着いた時には雪だるまの腕や顔は出来上がっていた。
「おはよう、まさむね」
「まさむね、ねぼすけ?」
「はよ。寝坊助じゃねーよ。お前らが早ぇんだよ」
「だって雪だよー?」
キャッキャッと抱っこを強請ったり、雪をぶつけてきたりとあっという間にふたりの周りに群がる子供達に政宗も幸村も笑顔を返した。
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