novel

□play
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−奥州・伊達屋敷

「政宗様」
「なんだ、小十郎」
「そろそろお休みになられた方がよろしいかと」

縁側に座り、月見酒を満喫していた政宗に小十郎がどこか楽しそうに声を掛けた。
政宗は小十郎の言葉に鼻で笑うと、残った酒を一気に飲み干すと杯を置き素直に立ち上がり、後ろ手で小十郎に手を振った。

「Good night.小十郎」
「お休みなさいませ」

政宗の浮かれるような弾んだ声に小十郎は頬を緩めながら襖を閉めた。

明日は伊達屋敷近くの高台で幸村との一騎討ち。
興奮さめやらぬ中、政宗は静かに目を閉じた。




「小十郎、わかってるな」
「無論。ご存分に」

先に高台に着いた政宗と小十郎はいまだ姿が見えない幸村と配下の佐助の姿をまだかまだかと待っていた。

「お待たせーっと…」

ちょうどその時、忍らしく高台に降りたたった佐助の姿に政宗と小十郎は眉を寄せた。

「おい忍、何だそのガキ。真田幸村はどうした」

佐助の腕に抱かれている子供。
誰かに似ている…と思いつつも、目的の人物がいない事に政宗は怪訝そうに眉を寄せた。

「ほら弁丸様、あの御仁が伊達政宗様だよー。教えたでしょ?アレが独眼竜」
「猿飛、言葉に気をつけろ」
「俺様、竜の旦那好きじゃないもーん」

ぷいっとそっぽを向く佐助とは反比例するように腕に抱かれている弁丸という子供はジーッと政宗を見つめた後、バタバタと暴れ佐助の腕から抜け出すと政宗の前まで走ってきた。

「某、弁丸にございまする!独眼竜・伊達政宗殿!某、佐助に話を聞いてから早くお会いしとうございました」
「Oh〜…cute!」
「ま、政宗様?」

政宗を下から見上げ、目をキラキラと輝かせ笑顔を見せる弁丸に政宗は早くも心が奪われそうになっていた。


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