novel

□Hide-And-Seek
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「ぼーん、べーん?」

政宗の声が家に響くが、それに応える声は返ってこず、シーンと静かなままだった。

「またか…」

何回も何回も懲りない奴らだな、と政宗は腰に手を当てはぁ…とため息を吐いた。
梵天丸が幼稚園から帰ってきて、おやつの準備をしてる間に始まった「かくれんぼ」。
どうやら最近の梵天丸と弁丸のブームになってるらしい。

「おーい。今日はPancakeだぜー。冷めたらマズくなるぞー」

二階の子供部屋に向かいながら階段で叫ぶが相変わらず静かなままだ。

「梵天丸ー?弁丸ー?」

ここか!と二人が隠れそうな場所を覗くが珍しく見つからない。
寝室やバスルームも探すが見つからない。

「…もういい!お前らの分俺が食べちゃうかんなー!」

さすがに面倒くさくなったのか、大声で叫べばバタバタバタ…っと足音が聞こえた。

「ダメでござるぅ〜っ!」
「はい、弁みっけ」
「ママ殿ずるいでござる!」
「あー?おやつの時間にかくれんぼするお前らが悪いんだろー」

弁丸が政宗に抱きつき、頬を膨らませる弁丸を抱き上げてダイニングテーブルの椅子に座らせる。

「今日は豪華版でアイス乗せてやろうと思ったんだけど、止めだ」
「嫌にござるぅ!アイス乗せてくだされぇー…っ」
「だったら梵どこにいるか教えな」
「階段の下!」

物置に隠れたのか…とガックリと頭を垂れて弁丸にお預けさせて梵天丸が隠れてる階段下の物置に向かう。

「梵!」
「絶対弁丸に聞いただろー!」
「ここは危ないから入るなって言ってんだろー」

扉を開けてすぐ、ふてくされた梵天丸がいて、政宗は廊下へ連れ出すと手を引いてダイニングに向かう。

「ママ殿、早くアイスー」
「ほら梵も座れ」
「弁丸、俺の場所言うなよ」
「うぅ…すみませぬぅ…」

弁丸の隣に座りながら梵天丸が怒れば、弁丸はしょぼんとしてうっすら目に涙を浮かべる。

「そうやって仲悪くすんなら、おやつ無し!」

テーブルから皿を取り上げて政宗が怒ると、梵天丸と弁丸は同時に椅子から降りて政宗の脚に抱きつくとごめんなさいーと謝る。


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