novel

□your mine
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「……」

朝一番の下駄箱から大量に落ちてくるラブレターやらプレゼントを静かに拾い上げ、いつからか持ち歩くようになった紙袋にそれらを詰めるのが政宗の日課になっていた。

「相変わらずだな、政宗」
「元親」
「てゆーかよー、俺のが背も高いしガタイだっていーじゃねーか。顔だって悪くねぇし?なんで誰も俺の良さをわからねーかねぇ」

おはようと挨拶代わりのお決まりの会話を交わし、肩を抱かれたまま二人並んで教室へと向かう。
好奇な目に晒される中、窓際の自分の席に着くとボーっと校庭を眺めた。
一緒に教室まで来た元親は既に他の生徒を捕まえて話し込んでいた。

「(眠ぃ…)」
『遅刻するでござるぅぁぁぁ!』

うとうと…しかけた時、騒がしいのが目に入って、軽くため息を吐いた。

「(朝から元気だな、アイツ)」

大声で校庭を走るクラスメートの姿はもうある種の名物化しているそれは校舎の中に入った後も続き、他のクラスからの声援を受けてチャイムがなると同時に教室へと滑り込んできた。

「セーフでござるっ!」
「旦那ぁ、もうちょっと余裕持ってきたら?」
「朝のダッシュも鍛錬の一つでござる!」

常備してるタオルで汗を拭いながら、あっという間にクラスの中心にいる幸村。

「…!おはようございます、政宗殿」
「…」

チラリと目が合うと微笑み挨拶をしてくる幸村にふいっと顔を逸らす。
瞬間クラス中に笑いが起きる。

「フラれてやんのー」
「違うぞ、あれは政宗殿の照れ隠しにござる!」
「その根拠は?旦那」
「それは…」

佐助の言葉に幸村が答えようとすればガタガタと音を立て机と椅子を掻き分け政宗が伸ばした手で幸村の口を封じる。

「あれ?伊達ちゃん?」
「政宗が顔染めてる」
「えー?二人何があったの?」

矢継ぎ早に佐助と元親、慶次が愉しそうに問えば、みるみるまた顔を赤くする政宗に愉しそうだった顔が一変、ふざけるなよ?と三人とも笑顔のまま眉間が寄ると、政宗の手を幸村から離しズルズルと幸村を教室の角に連れて行く。
端から見ればいじめられているような姿にすら、面倒くさい奴らだなと眺めていれば横に並んだ元就にニヤリと笑い掛けられる。

「醜い嫉妬よ」
「元就…」
「して、伊達。あれとは親密な関係にでもなったか?」


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