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□証し
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「灰原、後で職員室に来なさい」
HR中、担任の男性教師がそう言った。
「はい」
またか…と思いながらも一応返事をする私。
クラス中の視線が私に集まっていた。
どうせまたこの髪のことだろう。
帝丹中学に入学してまだ一週間も経っていないのに、呼び出されるのにもう慣れてしまった自分自身に苦笑した。
入学式の日に担任の男性教師に呼び止められて今日で三日目。
いくら地毛だと主張しても、信じようとしない男性教師にいい加減うんざりしてきた所だった。
お陰で有名人になれたみたいだけど…
全然嬉しくない。
クラスメ−トのヒソヒソ話が嫌でも耳に入る。
入学早々に貼られてしまった「問題児」のレッテルは、そう簡単に剥がせそうになかった。
「失礼します」
ドアをノックしながらそう言って私は職員室の中に入った。
「髪を染め直しなさいと言ったはずだ」
私の挨拶の言葉を完全に無視して、担任の男性教師が言った。
「これは地毛です」
「地毛だというなら、ご両親を学校に連れて来なさいと言ったのは覚えてるよな?」
「…はい」
連れて来られるものなら連れて来たい
「今ここで先生が君の家に電話を掛けようか?」
「嫌です」
博士に知られるのは絶対に嫌だった。
こんなことで毎日呼び出されてるなんて
博士の悲しそうな顔が目に浮かんだ。
心配は出来るだけ掛けたくない
沈黙が続き、男性教師の顔が次第に険しくなっていく。
「灰原、いい加減に」
「待って下さい。彼女の髪は正真正銘の地毛です」
そう言って、私と男性教師の間に良く見知った男子生徒が割り込んで来た。
誰か、なんて見なくても分かる。
いつもいつも私のピンチの時に、どういう訳か決まって現れるス−パ−マンなんて、一人しか知らないから
「君は…」
「先生のクラスの江戸川です。
俺は、彼女のことを小学生の時から知ってます。彼女の髪は正真正銘の地毛です」
そう言って彼―江戸川君は、私を背に庇った。