Special

□I'm back
1ページ/5ページ

私はス−パ−の袋をぶら下げて新一の家に急いだ。

今日は推理馬鹿のために、取って置きの夕飯を作ってあげよう…
そう思いながら













長い間、何やら複雑な事件を追い掛け続けていたらしい推理馬鹿がようやく学校に戻って来たのは、昨日のこと


文句の一つや二つ、絶対に言ってやろうとか

私の気持ちを…素直に伝えようとか


新一が帰って来たら言いたいと思っていたことが、山程あったはずなのに


昔と変わらずに友達とはしゃいでいる新一
推理小説を一心不乱に読みふけっている新一


そんなふと視界に入る新一の姿がとてもとても嬉しくて


ただただ「お帰り」としか、言えなかった。



だから今日は、ご飯をゆっくり食べながら、新一に言いたいと思っていたことをちゃんと話したい
そう思っていた。















新一の家から漏れる明かりをみた時、少し鼓動が速まるのを感じ、顔が熱くなった。

震える手でチャイムを押しながらも、新一の少し驚いた顔を想像すると、自然と笑みが溢れる。


アイツなんて言うかな…
ご飯を作りに来たなんて、何だか押し掛け女房みたいじゃない


私がそんなことを考えていると、玄関の扉がスッと開いた。



しかし―
そこに現れたのは、全く予想外の人物だった。
「工藤君?鍵は………え?」

扉を開けたのは、ブル−のシックなワンピ−スに白いエプロンをつけた、私の全く知らないとても綺麗な女の人だった。


この人…誰?











「…取り敢えず中に入りましょう?…って私が言う権利ないと思うけど」
お互いにしばらく固まり合った後、その女性がポツリとそう呟いた。


私は黙ってその女性の言うことに従った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ