Special
□彼の理由と彼女の理由
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俺は見慣れた道を全速力で走っていた。
体育の授業でも部活でもないのにこんなに走るのは久し振りのことで、何だか気恥ずかしい。
けれど、それでも俺は走らざるを得なかった。
頭に蘇るのはついさっき聴いたクラスメ−トの会話
「おい!宮野さんと菊池が裏庭で抱き合ってたらしいぜ」
「え〜っ!あの二人付き合ってたのかよ!」
「菊池の奴やるな…」
その会話を聴いた瞬間
俺は教室を飛び出していた。
俺と宮野が元の体に戻り、平和な生活を手に入れたのは約1ヶ月前のこと―
俺は帝丹高校に戻り、博士の強い勧めで何故か宮野までもが帝丹高校に編入することになった。
編入初日に俺のクラスに宮野がやって来たのには流石に驚いたけれど…
そんなこんなで俺と宮野は新しい生活をスタ−トさせた。
ところが…
新しい生活もそう平和にはいきそうにないようで
宮野が編入して来た初日から俺のクラス…いや、学校中が大騒ぎになった。
「メアド教えてよ」
「どこに住んでるの?」
「彼氏いるの?」
引っ切り無しに浴びせられる質問に、流石の宮野も困惑気味で
「転校生に質問を浴びせるのは、日本の伝統行事なのかしら?」
なんて訳の分からないことを言っていた。