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□真実は小さな胸の内に(前編)
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年月が経てば、人や街は目まぐるしいほど変わっていくけれど
ここに、いつまでも変わらないモノが眠っている
タイムカプセルに封印した一つの想い、一つの真実
その蓋を開けたとき、年月という小さな壁はなくなって
たった一つの確かな絆だけが、鮮やかに凛と息づいている
真実は小さな胸の内に
「まさか…そんなことって」
「そんなのただの噂だろ?」
「違います!何人もの生徒が見たって言ってるんです!」
放課後の帝丹高校の教室。
額を突き合わせて、真剣な表情で話合う少年、少女の姿。
「黒縁の眼鏡を掛けた推理好きで生意気な小学生と、茶髪でハーフっぽい顔つきでやけに大人びた小学生を見たと!」
夕日が窓から差し込んで、三人の横顔を紅く照らしていた。
「でもよーあれからもう…」
「十年たつよね…」
何も言わずに、異国の地に旅立ってしまった二人。
ある日突然、自分達の前に現れて。
ある日突然、消えた。
その理由も告げずに、一つのタイムカプセルだけを残して。
放課後、いなくなった二人を想ってこっそり泣いたこともあった。
二人を良く知っている博士にその理由を聞いても、悲しそうな表情を浮かべて知らないと言われた。
それならばと、自分達で二人の行方を調べたりもした。
けれど、二人の行方も消えた理由も何一つ分からなかった。
ただ、タイムカプセルだけが三人に残されたのだった。
今更、あの二人が戻って来ることなど有り得ない。
ましてや小学生のままの姿なんて。
「確かに非科学的なことです。でも、これだけ似た特徴を単なる噂として片付けることは僕には出来ませんよ!」
「少年探偵団の一員としては、絶対に」
懐かしい響き、だった。
それは魔法の言葉のように、三人を包み込んだ。
あの頃のように。
「よーし!少年探偵団出動だ!」
「うん!皆で真実を突き止めようよ。今度こそ、私達の力で」