Special

□真実は小さな胸の内に(前編)
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翌日ー
こっそり授業を抜け出した三人は、噂の帝丹小学校に足を運んでいた。



「わぁー懐かしいね」

「校門小っさいなー」

帝丹小学校の札をバシバシ叩きながら、元太が呟いた。

「僕達が成長したからそう見えるだけですよ!」

「元太君よくお腹すいたって言って、買い食いしてたよね」

「う、うっせーな」

「本当、懐かしいですね」



大切な思い出の場所に、思わず目を細めた。




卒業後に三人がここを訪れることは、一度もなかった。

否、訪れることが出来なかったのだ。




異国の地に旅立ってしまった二人との大切な思い出の、場所。

ずっとずっと、五人は一緒だと信じて疑わなかった場所。








「それにしてもさ、久しぶりだよね」

校門に背を預けて、風に吹かれた黒髪をそっと手で押さながら歩美が呟いた。




「卒業以来、こうして三人で集まることってあんまりなかったよね?」

「中学からはクラスも別々になっちまったしなー。歩美は体操部、光彦は化学部、俺は柔道部に入ってそれぞれ忙しくてさ」

「放課後皆で一緒に帰ったり、博士の家で遊んだりすることもなくなりましたね」





「それに、少年探偵団は解散したから…」







帝丹小学校卒業式の日、銀杏並木の下で三人は少年探偵団を解散させた。



五人は親友だと思っていた。

大切な大好きな、仲間だと。


それなのに突然消えてしまった。






二人が自分達の前に存在していたのは、一年ぽっちの短い間だったけれど。

あまりにもその存在が大き過ぎたことに気付いたのは、二人が消息を絶った後だった。




幼いながらとても、苦しんだ。

いなくなった理由ばかりを求めて、前に進めない日々が続いた。




だからあの日、自分達の手で解散させることを決意した。





いつまでも二人の思い出を引きずっていては前に進めないから。

これからは自分達の道を歩いて行かなくてはならないから。







小さな校舎を見上げながらそれぞれの想いを胸の内に秘めていると、子供達の笑い声が校庭に響いた。




「誰か出て来たぞ!」

「授業、終わったみたいだね」

「とりあえず、一年生らしき子に話し掛けてみましょう。あの噂では、二人にそっくりな小学生は一年生でしたから」
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