あいりん。

□一番め
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男は天国、女は地獄


ここは江戸・吉原遊郭。




他の遊郭よりも最大級の規模を誇るこの吉原には
歴代日本一と称される花魁がいた。



大見世・華菊屋(おおみせ、はなぎくや)




歴代日本一の花魁鷹緒(たかお)は、この大見世・華菊屋にいた。

華菊屋に来た客は口々に鷹緒の事をこう言った。


『化粧が他の女郎より薄いのに美しい。』
『昔はよく笑ったのに最近は口数が少なく仏頂面。』
『鷹緒は男女関係無く人を惹きつける力がある。』


と。


美しく化粧をし飾りを沢山付けた他の花魁達が集まった中に放り出されても
彼女は輝きを放ち垢ぬけた迫力で、とても目立つ。

彼女はとても有名だった
吉原以外の他の遊郭でも知らぬ者はいないほどに。
江戸でも誰一人彼女を知らぬ者はいなかった

様々な芸事に優れ、日本一であろう教養を身に付けている。

鷹緒を欲しがる人は数知れず
だがどれだけ大金を出して身請けさせようとしても彼女は、この吉原遊郭から身を引こうとはしなかった。









だって。


鷹緒には誰にも言えぬ重大な秘密があるから



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