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□剣 光 矛 盾
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剣 光 矛 盾
(聴け、魂の求めを。)
(オマエの裡に在る本能に従え。)
(殺戮を希む性を受け入れろ。)
(そこでしか強さは得られずそこにしか行き場は無い。)
(剣を取れ。)
(そして渇望するままに戦いを。)
戦うのは、仲間を、護る為だ。
(いいや、全てを壊す為だ。)
仲間を護る為に、ここへ来た。
(ここへ来て戦う為の口実に過ぎない。)
‥‥井上を救け出す。
(そこに斃したい敵がいるからだ。)
戦って、勝って、――連れ戻す。
(斬って、砕いて、塵ひとつまで破壊する。)
だから、チカラ、が。
(そう、チカラが欲しいんだろう?)
力が、必要なんだ。
(戦いが必要なんだ。)
戦いに勝つ為に。
(思う様破壊し尽くす力を得る為に。)
俺のすべき事は、仲間を護って戦う事。
(オマエの宿命は力を求めて戦い続ける事。)
空座町を護るのは、俺でなくてもいい筈だ。
(カスみてぇな連中なんざ、どうなったって構やしねぇ。)
ウルキオラ。この胸に孔を穿った破面。
(あぁ、間違いなくアレは俺達の獲物。)
あいつを倒す。
(殺せ。望むままに。)
倒して、斃して、‥‥斃して、それで――?
(壊すんだよ、何もかもを。)
‥‥ああそうだ、帰るんだ。
(そんな場所はもう無くなる。)
俺は、仲間の処へ帰る為に戦ってるんだ。
(嗤わせる欺瞞だな。)
だから、護るんだ。
(オマエは山程の人間を手離した。)
‥‥‥‥‥手離した?
(それでいいんだよ。邪魔なモンは棄てて行け。俺達には剣があればそれでいい。)
‥‥ああ、そう。剣があれば、戦える。
(そうだ。さぁ行けよ。行って戦え。求めるまま戦い、斬り刻め。)
‥‥戦いたい。
戦いたい。
戦いたい。
嗚呼、鞘の無い刀は剥き出しの本性だったのか。
斬る為の刃は隠しようも無く、広い刀身は何もかも眩ませる光を反射する。
護りたい、その望みのかたちさえも。
もう、何も見えない。
心の中心に何があったかすらも、今は。
――――わからなくなっていた。
20080325
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日記ログ。虚圏へ来て以降の一護を思っての走り書き。