短編
□お帰りなさい
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夜も更けた頃、食満はぼんやり長屋の廊下を歩いていた。
「………」
食満は空を見上げると星や月が明るく光っていた。
(…もう、七日になる、か)
七日前、彼の恋人は忍務に出た。それから七日経った。
いつになったら帰ってくるのやら。
(そんなに大変なもんだったのかよ)
食満はまた歩きだす。長屋の廊下が長く感じた。
「留三郎」
前方から声がかかる。酷い血の匂いがした。そして、この声は聞き覚えがある。
「文、次郎?」
随分と情けない声が出た。泣きそうな、辛いとでも言おうか。
「なんて声出すんだ」
「……」
いつもの自分だったらきっと皮肉の一つでも言っただろう。でも、今は…
「お帰り、文次郎」
「…ただいま」
君の無事をずっと待っていた。
そしていつもより素直になって笑って「お帰りなさい」と言ってみた。
君は嬉しそうに微笑んで「ただいま」と言った。
嗚呼、本当に、本当にお帰りなさい。
うわーなんか突発的な文てすいません(>_<)