堕王子様の王子様

□Buon Natale ……
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ヴァリアークリスマスパーティーを途中で抜けるフラベル


「Buon Natale!」


クリスマス当日、本部の意向により全任務が凍結、休暇となった。
自分が休みたいだけだろうに、要望さえあればどんどん休日を増やしていく。

そのおかげで酒好きなヴァリアーはクリスマスパーティーを開催出来る運びとなった。
この前ベル先輩の誕生日パーティーを丸一日かけて祝ったくせに、まだ飲むか。


「カエルー呑んでるー?」

「呑んでますよー先輩もう酒くさ……」

「全然呑んでねーけど」

「両手に何本空瓶抱えてんですか」


グラスなんて使わず瓶ごと飲むからみんなペースが速い。
……あ、レヴィさん脱ぎ出し……


「見たくないもんみた……」

「ミーもですー……」


先輩は真っ青でレヴィさんの見えない方へ行く。
あ、そっちは止めた方がいいと……遅かった。


「ぎゃああああああ!!」

「んもう、ベルちゃん可愛いんだからっ」


やっぱり……。
反対側ではオカマが誰彼構わずキスをぶちかましていた。
息を切らして逃げてきた先輩の頬には大きな大きなキスマーク。


「奪われたー!王子の純情奪われたー!!」

「だからあっちには行くなと言いましたのにー」

「言ってねーよ!あー気色悪ー……」


ゴシゴシと頬をこするベル先輩。
強くこすりすぎて真っ赤だ。


「そうだアルコール!消毒しよう!」

「そんなことしたら染みますよ」

「目も消毒……」


酔った勢いなのか、近くにあったワインボトルの中身を頭からぶちまけた。


「あーあ……」


赤ワインだから染みになる……先輩は気にしないか。
タオルを持ってきて先輩に渡す。


「おーサンキュッ」

「せんぱーい、このまま抜けませんかー?」

「どこに?」

「ミーの部屋か先輩の部屋か、それとも何処か他にー」

「……あー、抜けるか」


どうせ服も変えなきゃなんないし、と広間を出る。
変えてどこ行く気ですかねー、この堕王子はー。




「あー、さっぱりした!」

「……」


先輩の部屋に行くと、先輩はさっさとシャワーを浴びにいってそのままミー放置。
やっと出てきたかと思えばしっかり服を着込んでいる始末。シャツがずれてたりベルト中途半端だったり髪はびっしょりで服が濡れてたりと細かいところは適当ですがー。

カマトト?ほんと誘ってんですか?わざと?天然とかありえないですよね?さすが悪魔の名を持つ堕王子。惑わす技術も一流ですー。


「ふー、今度露天風呂作ろっかなー」

「でっかいバスタブあるじゃないですか」


ミーと二人で入ってもまだまだ余裕の。
金の猫足だったのはあまりにらしすぎて笑えましたー。


「露天が欲しい。ちっちゃいの。……ドライヤー取って」

「どうぞ」


露天……ねぇ。
浮かぶのはゴツゴツした岩肌に開いた穴に浮かぶ林檎頭。ミーか。サルも一緒に入ってる。


「作ったら一緒に入んだろ?」

「サルと一緒はちょっと……」

「誰がサルだよ両生類」

「違いますー。先輩のことじゃありませんー。ミーは先輩と同じ種族なのでこれからにゃんにゃんしたいでーす」

「やだ」


またまた、照れちゃってー。
クリスマス、クリスマス、サンタさん……。
はい、閃いたー。閃いちゃったー。
ミーのポーカーフェイスも崩れてくる。


「せんぱーい。ミーいい子だからサンタさん来ますよね?」

「悪い子だからこねーよ。ニヤニヤすんな」

「ニヤニヤしてませんー。……じゃあ、そんな悲しくて泣いちゃう子供のために、先輩がサンタさんになってプレゼントをくださーい」


ぽん、と有幻覚で先輩にサンタ服を着せる。んー、幻覚ってほんと便利ー。
真っ赤なふわふわミニスカサンタになった先輩は、顔も真っ赤。


「絶対嫌だ!!」

「可愛いですよー」


写メ撮っとこ。スマホを構えたら蹴飛ばされた。


「こんなに可愛いのに……何が不満ですか」

「全部」

「んー……ナース?メイド?ポリス?」

「どれも却下!」

「じゃあサンタさんでー」


喚く先輩の唇にキスをする。
何か頭に刺さったけどいつものことだし、気にしない気にしない。


「プレゼントはお互いってことでー」


着せたまま、いただきまーす。



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