堕王子様の王子様

□白い海の夢
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白い水に漂っていた。
液体にゆらゆらと何処までへも目的も無く。
何時までも柔らかい水に浸かっていたい。
溺れていたい。
何故俺が逃げるような事を考えているのか、何も思い出せないが。
もう二度とこの海の外へ出たくは無かった。

光が差し込む海面を海中から眺める。
死んでいるのか、生きているのか。
ここは死後の世界なのか。

やがて光と共に手が差し伸べられた。
一体誰の左手だろうか。
左手はそっと俺の頬を撫でた。
酷く懐かしい気がした。



鳥が鳴いている。
今までのは夢だったのかと、少しだけ落胆しながらカーテンを捲る。
柔らかい日差しが降り注ぐ。
朧げながらに覚えている、あの左手。
あれは一体誰の手だろうか。




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