焔の明星さま
□閑話
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○シャイコス遺跡に向かう前のリタの家にて
「っと、その前にちょっとあんたこっち来なさい。」
リタに連れられシャイコス遺跡に向かおうとしたその時、なにを思ったのかリタはルルを呼びつけ、二階に上っていってしまう。
「なんだ、あれ?」
「さぁ?」
「とりあえず付いてってみようよ」
カロルに言われすぐにあとを追おうとしたが上からの声に静止がかかる。
「男共は付いて来んじゃないわよ。こっち来たら叩きのめすわよ」
「おお怖、ここは大人しくしてた方がいいみたいだぜ、カロル先生。」
「…そうだね」
「私はちょっと見てきますね」
止められたのは男性のみということでエステルはすぐにあがって行ってしまう。本当に好奇心が旺盛なお嬢様だ。
それにしてもなぜリタはルルを連れてったのだろうか、逃げるならルルを連れて行きはしないだろうしリタはルルか樹から現れたことを知らないのだから研究対象として連れて行ったとは考え難い。
そう考えているうちににも上からは楽しそうな声が響いている。
「なんだか楽しそうだね」
「そうだな。楽しそうなのはエステルの声だけだけどな」
三人が降りてくるとルルの服装が一変していたやけにエステルが楽しそうだったのはルルを着せ替え人形にしていたためのようだ。
「服着替えさせてたんだ。でもなんで?」
カロルが尋ねるとリタがため息をはきカロルをこずいた。
「あんたね。あんなだぼだぼな身体のサイズにあってない服着たまま魔物の徘徊する遺跡に行って見なさいよ。服踏んずけてコケられたんじゃあぶ…あ、足手まといになるでしょ」
「素直じゃないですねリタ、ルルが心配だったですよね?」
「べ、別にそんなんじゃ!!」
赤面したリタをエステルがくすくす笑いながらなだめている。ルルはと言うと先ほどから一切口を開かず恥ずかしそうに俯いている。
ルルの格好は上に来ていた中のインナーをやや短めのものから普通の丈のものに変え、穿いていたズボンを袴に穿き替えた格好だ。どうやらリタの服のようだが体格が違う二人だ合う服があまりなかったのだろう。
そのてん袴ならそこそこ体格が違っても合わせる事が出来る。
ユーリが俯いてるルルの頭を撫でると顔を上げユーリを見る真っ赤になってる顔がとても愛らしい。
「よく似合ってんじゃないか。よかったな動きやすくなって」
ラピードもユーリの言葉に賛同するように吼えルルを見上げる。
本当なら出会った当初に気づいて服を買ってやるべきだったが、早くハルルを離れなければ急いでいてそんなのとも気づいてやれなかった。まだ魔核泥棒の疑いは晴れないがそのてんにかんしてはリタに感謝しなければならない。
ユーリの言葉でルルはとても嬉しそうにユーリとラピードを交互に見て笑った。
「りた、ありがとう!!」
「別に…はぁ、なんか馬鹿っぽい……はいはいどういたしまして」
楽しそうに笑うルルに毒気を抜かれたのかリタはなんだか疲れたように手を振って答えると一行はリタの部屋を後にし、シャイコス遺跡へと向かった。