焔の明星さま

□満月の想い
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 廃墟を探索しているとルルが歩きながら楽しそうにユーリに話しかけた。
 
 「ゆーりってすげぇよな!!」

 「何がだ?」

 「さっきのあれ!えっと、ふぇ?」

 「フェイタルストライク?」

 「うん!!それ!!すげぇよな、みようみまねで、できちまうんだから」

 「うん、僕もそう思う。ちょっと憧れちゃうよ」

 キラキラとした目でルルとカロルが凄い凄いと連呼する。

 「おれもあんなふうに、けんをうるえたらなぁ」

 「そんなたいそうなもんでもねえよ。さっきも言ったが案外簡単にできるもんだぞ。お前らも俺の見てるうちに出来るようになるかもな」

 ユーリがお前らにも出来ると言うとルルはより一層楽しそうにし、「こんど、けいこつきあってくれよ」と話かけ、ユーリがそれに了承する。

 「ほんとか!?わぁたのしみだな」

 「あんたって魔物と戦うのも躊躇気味なのに剣術の事になると楽しそうよね」

 「なるべくは、どんないのちもうばいたくないんだ・・・でも、なにかあたらしいことができるようになるのって、たのしいだろ、おれけんじゅつで、あたらしいことができることが、うれしいみたい」

 けんじゅつがすきなんだろうな、とルルが応えるとリタが納得したと頷いた。

 「確かにねぇ、新しい術式を開発したり、使えるようになるのはたのしいもんね」

 「何?珍しく、リタ素直じゃん」

 「なんか言ったガキンチョ?」

 「ひっ!な、なんにも!!」

 ルルはノール港の一件で剣が扱えることがわかり、トリムで自分も闘うとユーリ達に申し出ていた。
 そこで、最初は反対の声もあったが「なにもできないで、たいせつなものをうしなうのはいやだから・・・」と言うルルの言葉でルルに剣をあたえた。
 
 「わかります。私も命を奪いたくありませんし、でもそうしなければ自分の命が危ないことも分ってるんです。だから私この旅が終わったら今まで闘った魔物のお墓を作るって決めてるんです!!」

 「え!?今まで闘った魔物全部!?」

 「あんた、本気?」

 「そうです!!」

 リタとカロルがエステルの言葉を聞いて驚きと呆れをあらわす。
 今まで倒した魔物だけでも既に1000はゆうに越えてるというのに・・・帝都が墓で溢れ返りそうだ。

 「そういえば、旅の始めにそんなこと言ってたな」

 「あんた、やっぱりここで旅やめといたほうがいいんじゃないの?」

 これ以上魔物倒す前にとリタが付け足すとユーリがエステルにそういえばと目を向ける。

 「聞きそびれてたんだが・・・」

 「私ですか・・・?」

 「どうして、トリム港で帝都に引き返さなかったんだ?」

 「どうしてって・・・」

 エステルの旅の目的はフレンに狙われてることを伝えることだった。

 「あの時点で、お前の旅は終わったはずだろ?」

 「それは、その・・・」

 言いよどむエステルにルルが話しかけた。

 「なぁ、えすてる、まえに、りたが、はるるでいったことおもいだせよ・・・あのときみたいに、すなおに、じぶんのきもちいえばいいとおもう」

 前にハルルでルブラン達に囲まれた時リタに自分がしたい方を選びなさいと且つを入れられた。あの時エステルは旅を続けると決め見事に旅の目的を果たした。
 
 「・・・たぶん・・・私・・・もう少し、皆と旅が続けたかったんだと思います・・・だから・・・」
 
 それがエステルの本心、仲間達とまだ、旅をしたい・・・でも自分の立場上それは許されないことだから・・・だから・・・理由が欲しい・・・

 「・・・それに、魔導器の魔核、まだ取り戻してませんし・・・・」

 「それはそうだけど、それは俺の目的だよな?」

 「・・・駄目でしょうか」

 「じゃ、ま、ついてくるといいさ」

 「有難うございます」

***
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