焔の明星さま
□渡り鴉の羽ばたき
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「なになに。皆しておっさんの素敵さについて話てんの?」
いきなりの第三者の乱入にその場は一気に静まる。
「よっ、偶然!」
「こんなところで何してんだよ?」
「ケーブ・モック大森林に自然観察と森林浴に行こうとしてたのよ。そしたらおっさんを褒め称える声が聞えるじゃないそれで来ちゃったわけよ」
「胡散臭い・・・」
「あれ?歓迎されてない?」
「本気で歓迎されるなんて思ってたんじゃないでしょうね。それに誰がおっさんのこと褒めたのよ。おっさんのおの字もでてないわお呼びじゃないのよ!!」
リタがシッシッとするように手をふる。
「そんな事言うなよ。俺、役に立つぜ、それに見てよこの渋い髭カッコいいでしょ」
「髭はともかく、役に立つって、まさか、一緒に来たい、とか?」
「そうよ、一人じゃ寂しいしさ。何?ダメ?」
「背後には気をつけてね。変なことしたら殺すから」
リタは一言釘を刺すとそのまま先に行ってしまった。
「なぁ、俺ってばそんなに胡散臭い?」
「ああ、胡散臭さが全身からにじみ出てるな」
「どれどれ・・・」
自分の匂いを嗅ぎだす姿はまさに胡散臭さの塊のようなものだった・・・その姿にユーリがルルを親指で指しながらレイヴンに忠告する。
「おっさんの髭がカッコいいかは別にして、この前ルルの左ストレートくらった時の顔の方が断然男前だったぜ。よけいな真似したらまた男前な顔にしてやるよ。覚悟しておきな」
ユーリが不敵な笑みを浮かべしかも今度は自分も殴り飛ばすと拳を握り締めると自分の匂いを嗅いでいたレイヴンの動きが止まり引きつった顔をしている
「そ、それはマジで勘弁だわ、あれかなり痛かったのよ!!しかも、なかなか腫れがひかなくって大変だったんだから!!」
「自業自得だろ」
「あれ?ルル、レイヴンのこと殴ったの?いつの間に・・・ルル?」
カロルの質問になかなか応えないルルにどうしたのかと視線を移すとルルは思いつめたように下向き気味に口を開いた。
「・・・おれ、ひげはやすのやめる、おっさんみたく、うさんくさくなりたくない!!」
「お。おっさん早速役に立ったな」
「そうよ、やめときなさい。あんなんになったら目も当てられないわよ」
「有難うございます。レイヴンが胡散臭いおかけでルルの説得に成功しました。本当に有難うございます!!」
ユーリ達による言葉の矢の直撃を受けレイヴンは撃沈する。
「・・・おっさん泣きそう・・・泣いてもいい?」
「泣いてもいいけど、俺らのいない所で泣いてくれ」
「青年ヒドイ!!」