焔の明星さま

□渡り鴉の羽ばたき
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 どうしてこうなったのだろう?ただドンに紅の傭兵団について話を聞こうとしただけだというのに目の前ではユーリとドンが楽しそうに闘っていた。

 ダングレストに戻る途中魔物の大群とドンに遭遇した。

 「ドン・ホワイトホース」

 「何だ?」

 「会ったばっかで失礼だけど、あんたに折り入って話がある」

 ユーリを見てドンは不適に笑うととても嬉しそうにユーリに名前を尋ねた。

 「ユーリだ。ユーリ・ローウェル」

 「話なら聞いてやる。かわりにちょいとばかり面貸せや」

 「いいぜ、ギルドの頂点に立つ男とやりあうなんざ、そうある機会じゃないだろうしな」

 ユーリは一瞬驚いたような顔をしたがすぐにその顔に笑みをのせ鞘から剣を抜いて構えた。冒頭に戻る。

 「あ〜あ、まぁた始まったドンの悪い癖。骨のありそうな若いのを見ると腕っ節を試したくなるのよ」

 「止めなくていいの!!」

 「何言ってんの少年!!あんなの止めに入ったらどんな目にあわされるかーおっさん恐ろしくってそんなことできないわー」
 カロルはダンクレスト出身だけあってドンの数々の武勇伝を伝え聞いている。だからこそカロルは慌ててレイヴンに止めなくなくていいのかと尋ねたのだが…カロルよりレイヴンのほうがドンのことに詳しく、このままではユーリが危ないことも十分承知で自分の身の安全優先したのだ。
 誰だって自分の身が一番かわいい

 「えすてる。ちゆじゅつのじゅんび、よろしくな」

 「えっ!?あ、はい」

 「あんた随分と冷静ね、真っ先に止めに入ると思ったのに」

 いつものルルらしからぬ行動に首をかしげてルルの表情を伺うとなんだかとても嬉しそうな顔をしていた。

 「だってさ、ゆーり、すっげー楽しそうじゃん。あんなゆーりのかおはじめてみたから、じゃましちゃわりーだろ」

 リタはゆーりがんばれ〜なんて呑気に声援を送っているルルを呆れた様に見る。ユーリとドンの方はユーリが苦戦し始め、もうじき決着が着くだろう。
 まぁ、少しの間だけなら応援してやってもいいかもね。勝ち目なさそうだけど。


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