賜りもの

□Blue sea,she who are white
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「ハックシュン!!」



わずかに感じる咽喉の痛みと、
言いようのないこの寒気と、嫌悪感・・・。
これは多分・・・。




「やべ・・・、風邪引いた・・」






*Blue sea,

she who are white







「一護、海行かない?」



井上の部屋へと向かう、いつもの休日。
その道の途中に掛かってきた、水色からの誘いの電話。



「海?」
「夏休みももうすぐ終わっちゃうしさ、せっかくだからどうかなって」
「言いだしたのは啓吾か・・・」
「正解。あ、井上さん達にはもう連絡してあるから。また予定経てたら連絡するよ」
「おう、わかった」



海か・・・。
まぁ、今年は井上とも予定が合わなくてなかなか出掛けられなかったしな。
なんて思いながら井上の部屋のチャイムを鳴らす。



「黒崎くん!!」
「うわ!!」
「黒崎くん黒崎くん!!」



ドアを開けた途端、いきなり飛び付いてくる井上・・・。
だから、相手を確認してから開けろっていつも言ってんだろうが!
文句の1つでも言ってやろうと思ったけど、ぎゅうぎゅう抱きついてくる力があまりにも強いから、何かあったのかと心配になってきた。



「井上?」
「どうしよう・・・」
「何かあったのか!?」
「どうしよう、黒崎くん・・・」






「水着がキツいの!!」
「は?」



み、水着ってあれか?
プールとか海に着ていったりするあれのことだよな?
いきなりな発言に意味が掴みきれなくて、説明を求めようと井上に視線を向けると井上は何故か半泣きで・・・っておい!!



「井上!!」
「へ?」
「お前、何て格好してんだよ!」
「何って、水着だよ?」



水着っておい、いわゆるビ、ビキニってやつだろそれ!!
そんな格好で玄関のドアを開けるな!!



「大丈夫!黒崎くん以外の人だったらこんな格好でお出迎えしないから!」



いやいや井上さん・・・。
俺の気持ちを読み取ったかのように自信満々にわかってます的な雰囲気を醸し出してますけど、
俺に対してもやめて下さい。
というか、俺だからこそダメだろう!!
ほら、そんな格好見せられたらやっぱり・・・。



「黒崎くん?」
「うおおぅ!!」



いきなり目の前に井上の顔、と思ってたらいつの間にか井上は水着の上にTシャツを着ててちょっと残念・・・って!!
そっちのがなんかこう、クるんですけど!!



「黒崎くん、コーヒーでいい?」
「え!?お、おう・・悪いな」
「いえいえ〜」



当の井上は俺の葛藤なんて露知らずって感じだし・・・。
ああ、もう・・・本当に無防備過ぎて困る・・・。




「で?水着が何だって?」



井上がコーヒーを淹れてきてくれて、ようやく落ち着いたところで訊いてみる。
自分用にと淹れたミルクたっぷりの、むしろそれはミルクなんじゃないのかというカフェオレを飲んでいた井上は、
数秒考えるように視線をあげて、ああ!と一声。



「あのね?小島くんから海に行きましょうってお誘いがあったでしょ?」
「ああ、俺もさっき聞いた」
「それでね、さっそく用意しようと思って念のため水着を着てみたの。そしたらね・・・上の水着がキツかったの!!」
「ブッ!!」



思わず飲んでいたコーヒーを噴出する。
そんな俺の横で、太ったのかなぁなんて若干半泣き気味で井上が自分のお腹を触っている。
いや、あの井上さん・・・。
キツくなったのはお腹ではなく、胸の部分だと思います・・・。



「でね?明日、たつきちゃんと一緒に新しい水着を買いに行くことになったんだけど、黒崎くんに聞きたいことがあって」
「俺?」
「うん。えっとね、黒崎くんはどんな水着が好きですか?ビキニ?それともワンピース?」
「ブッ!!」
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