賜りもの

□Blue sea,she who are white
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再び吐き出すコーヒー。
いやいや、そりゃそうだろって。



「なんだその質問は!?」
「え!?だって、たつきちゃんが黒崎くんに聞きなさいって」
「なんで俺だよ!!」
「えーっとね、『水着がキツくなったのは一護のせいだから、罰として選ばせなさい』って」



たつきのやつ・・・。
キツくなった理由に気付いてやがるな・・・。
つか、何吹き込んでんだって!!



「それにね・・・」
「ん?」
「あたしも、その・・黒崎くんの好みの水着・・、着たいし・・」「!!」



顔を真っ赤にして俯いて、両手ぎゅっと握るTシャツの裾。
なんだこの可愛い生き物は。



「えへへ、恥ずかしいね!」
「俺の方が恥ずかしいっつの」



きっと俺も井上に負けないくらいに顔が赤いから、ごまかすように小さな体を抱きしめる。



「・・・恥ずかしいついでに言うけど」
「ん?」
「俺も男ですから、ビキニかワンピースかって言われたら、そりゃあビキニの方がいいけど・・・」
「ほんと?じゃあ・・・」
「でも・・」
「?」
「見せたくねぇなって・・・」
「へ?」
「俺以外の男には当然だけど・・たつきたちにも見せたくねぇなって・・・」
「・・・それはいわゆる、やきもちってやつっすか?」
「・・・・・」
「そっかそっかぁ〜」



「やきもちかぁ〜」って、腕の中の井上が、妙に嬉しそうに笑ってる。
やきもちと言えば確かにそうで、間違いではないんだけど、こうも笑われてしまうと悔しいというか何というか・・・。
悔し紛れに井上の体を抱えあげてベッドに落とす。
途中、慌てて止めに入る声は無視で。



「くくく黒崎くん!?」
「笑いすぎだっつの」
「だって、黒崎くんがやきもち妬いてくれるなんて思ってなかったから!」
「いつも妬いてるっつの・・・」
「へ?黒崎くん、今のもう一回お願いします!」
「何でもねぇっ」
「え〜、せっかく黒崎くんがいつもやきもち妬いてくれてるってわかったのに〜」
「しっかりばっちり聞こえてんじゃねぇか!」
「あわわわ!聞こえてないよ!」
「うそつけっ」



今さら手で口押さえたって遅いだろって。
本当はただちょっと文句を言う程度、ほんの悪戯程度の仕返しのつもりだったけどやっぱり無理だ。
口元を隠す井上の手を取って、小さな唇にそっと自分のそれを重ねる。



「そんな嘘つく悪いやつにはお仕置きだな?」
「おしおき?」
「そ、お仕置き」



きょとんとした真ん丸な目のすぐ横に唇を落としてみる。
最初は真っ赤になって、しばらくするとワタワタし始めて、
次はどうなるんだろうって思って見ていたら、
井上からポツリと一言、




「それ、私も嬉しいからお仕置きにならないよ・・・」




なんて、爆弾発言。



「・・言ったな?」
「言っちゃいましたね」
「遠慮しねぇからな」
「のぞむところです」



もともと逃がしてやるつもりなんてこれっぽっちもなかったから、首に回る井上の腕に任せて体を落とした。




結局、そのあとはコトにいたってしまって、水着のことなんてすっかり忘れてたんだけど・・・。



「あいつ、結局どんなの買ったんだ・・・?」



ピピピ!という電子音に、脇に挟んだ体温計を取り出す。



「37度9分・・・」



風邪なんて滅多に引かないくせにこのタイミングで引くとかどうなんだ俺。
その前に、一応医者志望って奴が自分の風邪に気付かないってのもどうなんだ?



「・・まぁ、これぐらいなら一晩寝れば大丈夫か」



あんなに他の奴にはお前の水着姿は見せたくねぇとか言っといて、「行けません」じゃかなりかっこ悪いな・・・。
つーか単純に、俺がいないところでは見せたくねぇ。



「とりあえず寝るか・・・」
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