GG
□甘い甘い恋の味
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『は?バレンタイン?』
ああ、そういえば今日は二月十四日だったか。
…で、何故雲雀先輩は私にチョコレートを要求するんだろう。
密かにファンがいるんだから、その子達に貰ってるだろうに。
「僕にはないの」
『…特には』
「君それでも女子?」
『………そんなに言うならチロルチョコ買ってくるけど』
「作ってよ」
…嫌だよ面倒くさい。
普段からお弁当やら夕食やら作ってあげてるのに、さらに要求するわけ?
傍若無人にもほどがあると思うんだけど…。
「…材料費と人件費払うから」
『…まあそれなら…何がいいの?板チョコ?』
「………君さ、女の子がどういうものか勉強してきたら?」
『長いこと女の子やってるけどそんなの言われたの雲雀先輩からが初めてだよ』
雲雀先輩の方が乙女なんじゃないの?チョコレートが欲しいなんて。
…そういや…バレンタインにチョコあげたのって、妹が最後…だったかな。
なんか無駄に頑張ってケーキ作って、でも食べてくれなくて…ああ本当ムカツク。
「…フォンダンショコラ」
『フォンダンショコラ?』
「君なら作れるだろ?はい、材料費と人件費」
そう言って雲雀先輩は財布から一万円を抜き取って差し出してきた。
『…いらない。
普段のお礼として作ってあげるよ、フォンダンショコラ』
その代わり、ちゃんと食べないともう二度とご飯も何もかも作ってあげないから。
甘い甘い恋の味