続☆折原家の愛しい妹

□守物壊物
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名無を一言で言えば……お人好し。
別に馬鹿にしてるわけじゃない。
ただ度が過ぎるほど優しいだけ。

それがたまに傷になるということを…本人が気付いているかは微妙なところだ。





「お兄ちゃんっ!あのね、あのね…………」





名無はあれから池袋に行きたがらなくなった。
行けば竜ヶ峰帝人や園原杏里、平和島静雄など会いたくない人物に会うからだろう。

だから俺もあまり行かないようにしていた。
池袋から帰ってきた日にどこへ行ってたかと聞かれれば、決まって『近場にある取引先』とごまかす。

そう言うと名無は深く聞いてはこない。
仕事を二人でやる時以外はお互いの仕事に立ち入らないことにしてあるからだ。





「……それでね、セルティさんったら……………」





そういえば、あの三人やシズちゃんには会いたがらないのに何故か池袋に家がある、新羅や首無しライダーには会いに行きたがる。

何故かまで問いただそうと思ったが、名無がニコニコ笑いながら話すので別にいいかとスルーし続けている。





「すっごく楽しかった!」

「そう。よかったね」





とにかく、妹が笑ってくれさえすればそれでいいのだ。
そこで何に関わろうと、どんなものに触れても、最後に笑顔で帰ってきてくれればそれでいい。

過去に俺がやってきたことで名無を傷つけてしまった。
今更謝ろうとは思わないし、これからだって…何をするか分からない。

ただそこに名無を巻き込まないように。
そしてもう二度と……手放さないようにしたい。









蜘蛛の糸に絡み付いた蝶は逃げる術を知らない。
そして蜘蛛も、糸に何が絡み付いたのか、ギリギリまで知る術を知らないのだ。



 
 

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