もしもシリーズ
□もし折原臨也が歌手だったら?
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「ねぇねぇ!折原臨也の新曲CD予約した?」
「もちろんだよ!名無は?」
「えっ……と…まだ…かな…」
超人気歌手、折原臨也。
新曲『君に捧ぐ音』は予約数で既にオリコン入りが決定している。
「もぉー!早く予約しないと特典付かないよ?」
「と、特典?」
「そう!今回は握手券が付いてるんだよぉっ!」
興奮する友人2人。
正直……どうでもいい。
「臨也さんって武道館でライブとかするレベルなのに、小さなライブハウスで握手会するでしょ?そういうところがいいよねー♪」
「分かる、分かる!!あー!早く会いたいっ//」
何故興味がないのか。
その理由は簡単。
「やぁ、名無」
「………臨也」
私と臨也は高校時代の同級生。
そして住んでいる場所も近所だからである。
「さっきいた子たちって…俺のファン?」
「そうだよ」
私の家の前で待っていた臨也は鍵を開けるとなんの迷いもなく入ってくる。
「声も顔もかっこいい俺はモテモテなわけだ?」
「はいはい。で?何の用?」
冷蔵庫から缶チューハイを取り出しひとつを臨也に投げる。
それを受け取るとニッと笑ってあるものを投げ返す。
「ちょっ!?」
チューハイを近くの机に勢いよく起き、臨也が投げたものを受け取った。
「あんたねぇ!自分のCDでしょうが!もっと大事に扱いなさい!」
「厳しいなぁ。それより、どうせまだ予約してないんだろ?」
渡されたのは先程友人が予約したという新曲の『君に捧ぐ音』。
中には彼女達のお目当て、握手券が入っていた。
「来てよ」
「……どうせ行かなきゃいけないのよ。彼女達に半ば強制的に誘われてるしね」
「なら話は早い!2週間後、楽しみにしてるよ」
必ず来るようにと釘を刺され、はいはいと頷くと臨也は満足そうな表情を浮かべ、私の家から出た。
CDのジャケットを見て大きく溜息。
かっこいいとか思ってしまった自分にひどく腹が立った。