はらりと落ちる花

□いつになく平和な日常
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「まぁ。じゃぁ女の子がわざわざ男装までしてお父様を探しに京まで?」





いつもの呉服屋で僕は出されたお茶を啜る。
美咲さんは僕が破ってしまった羽織りを丁寧に縫いながら話に耳を傾ける。





「うん。なかなか度胸があるよね。びっくりですよ」





先日の夜。
羅刹に襲われた者の名は雪村千鶴という女の子だった。
新選組で変落水の研究をしていた雪村綱道の娘。

そんな経緯から新選組はその少女を保護することになったのだ。





「でも偉いわ。京では散々の言われようの新選組のみんなが…お父様を探している女の子を保護してあげるなんて」

「あはは……まぁ僕達には人助けも仕事に入ってますから」





変落水のことを当然知らない美咲さんに『実は監禁してるんですー』とは死んでも言えない。





「その女の子、男所帯にひとりで可哀相に…」





あんなむさ苦しいところ心細いわ。
なんてこぼす美咲さんに思わず笑ってしまった。

確かに新選組に女はいないし、部屋に隔離されてる状態。
心細くなると言われればそうだろう。





「ねぇ?その女の子に会えないかしら?」

「えっ!?会うんですか?」





昔から言い出したら引き下がらない主義。
しかし今回はさすがに僕の独断では決められない。

瞳を輝かす美咲さんにダメとも言えず、





「…土方さんに聞いてみます」





と返事を返した。


 
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